工場自動化・産業ロボット株|フィジカルAI投資の核心はロボットではない

フィジカルAIという言葉が使われるようになってきました。AIがデジタルの世界だけでなく、現実世界に実装される時代です。
工場の生産ラインが自律化し、物流センターのロボットが荷物を仕分け、ヒューマノイドが現場で動き回る。
ただ、わたしが投資家として最初に考えたのはロボット本体ではありませんでした。
ロボットが動くために何が必要でしょうか?制御システムと、精密に動くための部品です。どのメーカーのロボットが主役になろうと、その中に必ず入っている「インフラ」を抑える。これがわたしの投資哲学の出発点です。
フィジカルAI時代の工場自動化・産業ロボット市場
世界の産業用ロボット市場は2031年までに年平均11.7%で成長し、約940億ドルに達する見通しです。工場自動化市場を合わせると2030年には2,600億ドル超の巨大市場です。
ですが、わたしがこのテーマに注目したのは市場規模が大きいからではありません。
注目したのはサイクルです。
コロナ禍に製造業各社がロボット投資を急増させ、その反動で2023〜2024年に在庫調整が起きました。ROKもナブテスコも業績が低迷し、株価が大きく売られた。
ただ、競争優位性は何も変わっていません。在庫調整という一時的な嵐で売られた優良銘柄を拾うチャンスだと判断しました。
そして、そのサイクルは明確に上向き始めています。ROKのQ1 FY2026は売上前年比12%増、ナブテスコのQ1 2026は営業利益68.3%増。数字が証明しています。
さらにその先に、AIによる工場の「自律化」という新しいフェーズが来ます。単なる自動化ではなく、工場が自ら判断して動く世界です。その需要は在庫調整とは別次元の、構造的な長期成長です。
そのインフラを担う銘柄として、わたしは制御層と精密動作層の2つのレイヤーで5銘柄を保有しています。
制御層|ROKとデンソー
ロボットが動くとき、最初に必要になるのは「何をどう動かすか」を決める制御システムです。センサーが環境を認識し、AIが判断し、その命令を現場の機械に伝える。この神経系を担うのがROKとデンソーです。
ROK(ロックウェル・オートメーション)はわたしにとって「さよ11」の原点です。
さよ11はフィジカルAIインフラを中核として、わたしが考案したオリジナルポートフォリオです。
「NVDAの次に来るものは何か?」と考えたとき、最初に行き着いたのがROKでした。工場のロボットを動かすには制御システムが必要で、その世界的リーダーがROKだと気づいたとき、「フィジカルAIのインフラを抑える」という投資思想が初めて言葉になりました。
ROKが今注力しているのがSDA(Software-Defined Automation)という概念です。従来の制御システムはハードウェアに依存していました。機械を変えるたびに制御プログラムを書き直す必要があった。SDAはこれを根本から変えます。ソフトウェアが制御の主役になることで、工場はハードウェアに縛られずに柔軟に動けるようになる。NVIDIA・AWS・Microsoftと協業しながら、工場が自ら判断して動く「自律化」の世界を作ろうとしています。
在庫調整の嵐を越えて、Q1 FY2026は売上前年比12%増・Software & Controlセグメントは19%増と明確に回復しています。
ROKの詳細な個別分析はこちらをご覧ください。

デンソーはさよ11で唯一の日本株です。
自動車部品メーカーという見方をされていますが、わたしの見方は違います。長年クルマという人命に関わる現場で安全制御システムを磨いてきた会社。その知見はGoogleやAmazonといった米メガテックには簡単に真似できません。
フィジカルAIが現実世界に実装されるとき、避けて通れない問題が「安全をどう担保するか」です。画面の中のソフトウェアと違い、現場で動くロボットの誤作動は人命に直結します。デンソーはその答えを長い時間をかけて積み上げてきた会社です。
正直に言うと、デンソーはFOMOで買いすぎて現在含み損を抱えています。「いい銘柄だ」と確信した瞬間に大量買いをして、その後の株価急落で痛い目を見た。ただ、その経験があっても5年後・10年後の見方は変わっていません。むしろ冷静に見直すほど確信が深まっています。
デンソーの詳細な個別分析はこちらをご覧ください。

精密動作層|NOVT・THK・ナブテスコ
制御システムが「何をどう動かすか」を決めるなら、精密動作層はその命令を「実際に精密に動かす」部品を担います。
ロボットの関節が弧を描き、アームが伸び、工具が上下する。その一つひとつの動きを支える部品を作るのがNOVT・THK・ナブテスコです。
NOVT(ノヴァンタ)はロボットの「筋肉と感覚器官」です。精密制御・センシング・レーザー技術で、ロボットアームの動作精度や手術ロボットの制御精度を支えています。わたしがNOVTをさよ11に加えたのは、現在地より未来の方向性を見たからです。医療寄りの会社という印象ですが、フィジカルAIに向けて産業ロボット・ヒューマノイドへ技術を明確に拡張しようとしている。その方向性がわたしの投資思想と合致しました。
さらに、NVIDIAのHalos AI Systems Inspection Labへの参加、ヒューマノイド安全規格の策定関与、GPU基板ドリリングの独占供給と、購入時には見えていなかった上振れが次々と形になっているのも確信を深める要素になっています。
NOVTの詳細な個別分析はこちらをご覧ください。

THK(6481)とナブテスコ(6268)は、さよ11のサテライトとして保有している日本株です。
THKは、LMガイド(リニア・モーション・ガイド)で国内シェア70%・世界トップを誇る直線運動部品の王者です。ロボット1台に複数個使われるLMガイドは、ロボットが増えるほど需要が増えます。
わたしがTHKを購入したのは2026年2月の決算発表後。大きな最終赤字を計上して株価が急落したタイミングでした。
赤字の中身は構造改革費用という一時的なもの。本業の競争優位性は何も変わっていないどころか、構造改革によりさらなる成長が期待できると判断しました。
THKの詳細な個別分析はこちらをご覧ください。

ナブテスコは、産業用ロボットの関節を司る精密減速機で世界シェア約60%を持つ会社です。THKが直線運動を担い、ナブテスコが回転運動を精密にコントロールする。この2社でロボットの「動き」が成立します。ナブテスコもROKと同じ在庫調整サイクルで業績が低迷していたタイミングで購入しました。
世界シェア60%という競争優位性は健在であり、フィジカルAI時代に向けてさらなる成長が期待できると判断しました。
ナブテスコの詳細な個別分析はこちらをご覧ください。

まとめ
工場自動化・産業ロボット市場は2031年に向けて年平均11.7%で成長する見通しです。ただ、わたしが注目しているのは市場規模よりも構造です。
ロボットが1台増えるたびに、制御システムと精密部品の需要が生まれ続ける。どのメーカーのロボットが主役になろうと、必ず必要となるインフラがある。それがこの5銘柄を保有している理由です。
制御層のROKとデンソー、精密動作層のNOVT・THK・ナブテスコ。
在庫調整という嵐を越えて、数字はすでに上を向き始めています。そしてその先に、AIによる工場の「自律化」という次の成長フェーズがくる。
どのメーカーのロボットが勝つかは分からない。でも、ロボットが増えれば増えるほど確実に需要が生まれる領域がある。わたしはそこに投資しています。
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フィジカルAIインフラ投資のオリジナルポートフォリオ「さよ11」の全体像はこちらをご覧ください。






