フィジカルAIを支えるレアメタル|半導体材料の非鉄金属銘柄

フィジカルAIを支える技術には素材が必要です。どんなに優れたセンサーや半導体を設計しても、材料がなければ作る事はできません。
PwC Japanのレポートでも、半導体・レアメタル・AI基盤モデルが、フィジカルAI時代を支える中核領域として挙げられています。
あまり注目されませんが、AIチップやセンサーには必ず特定の金属が使われています。今回は、フィジカルAIを支える素材・レアメタルという領域と、その中でわたしが注目している銘柄について書いてみます。
なぜレアメタルがフィジカルAIに欠かせない?
半導体を作る工程には、いくつもの特殊な金属が使われます。
例えば、半導体の回路パターンを形成する工程では、金属を微細な薄膜として基板に付着させる「スパッタリング」という技術が使われます。このとき使われるスパッタリングターゲットという材料には、高い純度と特殊な性質を持つ金属が必要です。また、金属を高温で溶かしたり、精製したりする工程では、極めて高い耐熱性を持つ「るつぼ」という容器が欠かせません。
これらに使われるのが、イリジウムやルテニウムといった白金族の希少金属や、銅のような非鉄金属です。地球上での存在量が少なく、採掘や精製のコストが高いために「レアメタル」と呼ばれますが、半導体の微細化・高性能化が進むほど、こうした特殊な素材への依存度は高まっています。
AIチップの性能が話題になるとき、注目されるのは設計や製造装置ですが、AIチップを作るためには素材を扱う企業が不可欠なのです。
半導体材料を扱う非鉄金属企業
この素材という領域には、日本にも世界的なシェアを持つ企業がいくつも存在します。
JX金属(5016)
半導体用スパッタリングターゲットで世界シェア約64%、圧延銅箔で世界シェア約78%を持つ、非鉄金属の大手です。
2025年に上場した銘柄ですが、AIサーバー・半導体向けの需要拡大を背景に業績が急拡大し、個人投資家の間でも人気が高いですね。銅というAI時代に欠かせない配線材料を、強化してきたポジションは評価が高いポイントです。
上場後は820円から一気に6,000円近くまで急騰したのも話題になりました。その後急落、調整局面に入るなど個人投資家は振り回されていますね。
住友金属鉱山(5713)
非鉄金属の総合力に加え、電池材料という成長分野にも軸足を持つのが特徴です。自らフィジカルAI向けセンサー・実装技術について発信するなど、この分野への意識の高さが垣間見えます。
中期的な利益拡大を掲げており、電池・機能性材料の両輪で成長を狙う戦略のようです。
DOWAホールディングス(5714)
非鉄金属の製錬とリサイクルを一体化した、循環型のビジネスモデルが特徴の企業です。
鉱山・製錬で培った技術を活かし、使用済みの電子機器や家電、リチウムイオン電池などのスクラップから、約20種類の有価金属を回収する高い技術を持っています。
資源を掘るだけでなく、循環させることでも稀少な金属を確保できる体制が、他の非鉄メーカーとは異なる強みとして市場から評価されている印象で、投資家からの人気も高いと思います。
三井金属(5706)
AI関連需要を背景に銅箔事業が急拡大し、業績の上方修正が続いている企業です。銅箔は世界首位級のシェアを持ち、AIサーバーの基板向け需要を大きく取り込んでいます。
いずれも、半導体・AIサーバーの需要拡大を追い風に、業績・株価ともに急成長しており話題になっていました。一方で、値動きも荒く、成長期待とボラティリティが同居している銘柄だとも思います。これは非鉄金属に共通する特徴かもしれませんね。
いずれも半導体・AIサーバーの需要拡大を追い風に、存在感を増している企業です。そして次の章ではわたしのイチオシ銘柄をご紹介します。
フルヤ金属|希少金属をリサイクルできる独占企業
これらの企業の中でも、わたしが特に注目しているのがフルヤ金属(7826)です。
フルヤ金属は、白金族元素を中心とする貴金属製品の製錬・加工を手がける会社です。特にイリジウム・ルテニウムという、地球上でも極めて希少な金属の分野で、世界シェア70〜90%という圧倒的な独占状態を築いています。
半導体のスパッタリングターゲットや、高温での精製に欠かせない「るつぼ」など、AIチップ製造に欠かせない存在と言えます。
わたしが特に注目しているのは、フルヤ金属のリサイクル技術です。フルヤ金属は、使用済み製品からこれらの金属を99.999%という高純度で再資源化する技術を持っています。イリジウム・ルテニウムは採掘量が限られた希少性の高い金属です。近年は半導体の微細化やグリーン水素などの要素が需要を押し上げ、資源価格が高騰しています。
希少性が高い金属だからこそ、新規に採掘するよりもリサイクルする方が経済合理性が高い。このビジネスモデルが、一般的な非鉄金属企業とは異なり、資源価格や地政学リスクを中和する独自の強みだと考えています。
業績も驚異的です。直近の四半期は売上高が前年比83.1%増、営業利益は同109.4%増という、まさに急拡大しています。グリーン水素向けのイリジウム触媒という新しい成長分野も出てきており、半導体だけに留まらないビジネス拡大も魅力的です。
この圧倒的な世界シェアと、リサイクル技術によって資源依存を抑えられるビジネスモデルの両面に魅力を感じ、わたしはフルヤ金属に投資しています。
まとめ
フィジカルAIを支えるのは、センサーや半導体だけではありません。その素材として、レアメタルなどの金属が不可欠です。
最近は半導体装置やメモリ関連が注目されていますが、非鉄金属は必要不可欠な領域であり、需要が途切れる事はありません。
調整局面だからこそ、目を向けてみると面白い発見があるかもしれません。
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