メキシコペソ積立の損益分岐点|らくつむで時間をかけるほど有利になる理由

メキシコペソ積立記事アイキャッチ。らくつむでのスワップシミュレーションと損益分岐点を解説。
sayosuke_admin

「らくつむ」で積立を始めたとき、最初に選んだのはトルコリラと豪ドルの2つでした。

トルコリラは高スワップですが、前回書いたようにリスクも高い。そこで組み合わせる通貨として、比較的安定した高スワップ通貨として有名な豪ドルを調べました。RBAが利下げ局面を終えて再利上げの可能性も議論されている局面で、トルコリラとは異なる安定感がある。この2つの組み合わせがちょうどいいと思いました。

ただ、実際に運用を始めてみて、2つでいいのかな?もう少し分散したほうがいい?などと思うようになりました。

そこで行き着いたのがメキシコペソです。スワップはトルコリラより低いですが、豪ドルより高い。通貨の安定性はトルコリラほど不安定ではなく、米国経済と連動しやすい構造を持っている。工業を含む産業基盤もある。金利とリスクの両面でちょうど中間に位置する通貨だと気づきました。

結果として、現在のところトルコリラ・豪ドル・メキシコペソをそれぞれ200円ずつ毎日積み立てる、という形に落ち着いています。

今回はそのメキシコペソについて、特性と損益分岐点を数字で整理してみます。積立FXの対象として本当に合理的なのか、実際に検証していきます。

メキシコペソのスワップはどのくらい受け取れるか

メキシコペソが注目される理由は、高スワップ通貨の中では比較的安定している点です。

らくつむのメキシコペソ/円のスワップポイントは1通貨あたり1日0.00147円。メキシコの政策金利6.75%という水準から生まれるスワップです。

実際にわたしの設定(200円/日・レバレッジ1倍)で1年間積み立てた場合のシミュレーションをしてみます。

1メキシコペソは現在約9.17円なので、200円で約21通貨を毎日買い付けます。年間250営業日で積み上がる通貨量は約5,250通貨です。

この5,250通貨に対して、365日スワップが付与されます。

5,250通貨×0.00147円×365日=約2,817円

投資額50,000円(200円×250日)に対して、スワップ利回りは約5.6%です。

トルコリラの約27.7%と比べると低く見えますが、これがメキシコペソというキャラクターです。高スワップではなく、安定した中スワップというべきでしょうか。為替リスクとのバランスが取れているかという点について、次章で確認していきます。

メキシコペソの値動きはどんな特性があるか

トルコリラとメキシコペソで最も大きく異なる点は、値動きの方向性です。

トルコリラは長期的に一方的な下落トレンドが続いてきました。一方、メキシコペソは上がる年もあれば下がる年もある。直近の年間騰落率を見るとその特性がよくわかります。

  • 2021年:約+7%上昇(約5.3円台→約5.7円台)
  • 2022年:約+23%上昇(約5.7円台→約7.0円台)
  • 2023年:約+32%上昇(約6.6円台→約8.7円台)
  • 2024年:約-20〜25%下落(約9.4円台の高値後に急落)
  • 2025年:乱高下(一時6円台まで下落後、9円台まで回復)

2021年から2023年まで3年連続で大きく上昇し、2024年に急落、2025年は乱高下という動きです。トルコリラのように「毎年下落し続ける通貨」ではない。これがメキシコペソの最大の特徴です。

2025年の動きは少し詳しく触れておく必要があります。年初7.5円台でスタートしたところに、トランプ大統領がメキシコへの25%関税を発動。輸出の8割以上を米国に依存するメキシコにとって直撃となり、一時6.8円台まで急落しました。ただその後、関税交渉を経てUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)準拠の財が対象外となり、最悪の事態が回避されたことで9円台まで回復しています。

メキシコペソが米国経済と強く連動するという特性が、2025年の値動きにそのまま現れた1年です。

一方向ではありませんが、2024年のような急落が起きれば、その年は大きくマイナスになります。次章でその損益分岐点を整理していきます。

メキシコペソの損益分岐点はどこか

スワップ利回り5.6%に対して、為替下落が5.6%を超えると損益がマイナスになります。

トルコリラのスワップ利回り27.7%と比べると、損益分岐点の水準がかなり低い。少しの下落でスワップが負けてしまうように見えます。ただし、メキシコペソにはトルコリラにはない特性があります。それは上昇する年があるという点です。

2021年〜2023年のように為替が上昇する年は、スワップと為替差益の両方を受け取れます。逆に2024年のような急落局面では、スワップ利回り5.6%では到底カバーできない。この非対称性がメキシコペソの損益構造の特徴です。

ドルコスト平均法の効果はトルコリラと同様に働きます。毎日買い付けることで下落局面でも取得単価が切り下がり、積み上がった通貨量が増えるほどスワップも雪だるま式に増えていく。急落した2024年や2025年前半に積み立て続けた分は、その後の回復局面で恩恵を受ける形になります。

つまり、メキシコペソの損益分岐点を単年で考えることにあまり意味がないかもしれません。なぜなら、上がる年もあれば下がる年もある通貨だからです。上昇局面ではスワップと為替差益の両取り、下落局面ではドルコスト平均法で取得単価を切り下げながら耐える。積み上がった通貨量が増えるほどスワップも増え、取得単価は下がり続ける。

時間をかけるほど、損益分岐点は有利な方向に傾いていく。それがメキシコペソ積立の本質です。

今後のメキシコペソはどうなるか

メキシコペソの今後を考えるとき、最も重要な変数は米国との関係です。輸出の8割以上を米国に依存するメキシコにとって、米国経済の動向とトランプ政権の関税政策が通貨の行方を大きく左右します。

2025年はその構造がはっきり現れた年でした。トランプ関税の発動で急落し、交渉による緩和で回復した。メキシコペソは米国の政策判断に対して非常に敏感に反応する通貨だということが、改めて確認された形です。

ポジティブな材料としては、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の枠組みが機能していることが挙げられます。準拠する財は追加関税の対象外となっており、最悪の事態は回避されています。またニアショアリング(米国近隣への生産拠点移転)の流れはトランプ政権下でも完全には止まっておらず、メキシコへの直接投資の下支えになっています。

また、2026年11月には米国中間選挙が控えています。共和党が議席を失えばトランプ政権の政策推進力が弱まり、関税政策にブレーキがかかる可能性があります。メキシコペソにとってはポジティブな材料になりえます。

一方でリスクも残っています。USMCAは2026年に見直し交渉が予定されており、その行方次第でメキシコへの影響は大きく変わります。また政策金利は利下げトレンドにあり、スワップポイントが今後さらに低下する可能性も念頭に置く必要があります。

楽観はできませんが、トルコリラのように一方向に下落し続ける通貨ではない。米国経済と連動しながら、上昇と下落を繰り返す通貨です。その特性を理解した上で積み立てを続けることが、メキシコペソとの正しい付き合い方だとわたしは考えています。

わたしがメキシコペソを積み立てる理由

ここまで読んで、「スワップ利回り5.6%なら他の運用でもいいのでは?」と思った方もいるかもしれません。それは正直な疑問だと思います。

ではなぜわたしが積み立てているかというと、結局のところ3通貨のポートフォリオの中でメキシコペソが果たす役割があると判断したからです。

トルコリラは高スワップですが通貨安リスクが高い。豪ドルは安定していますが相対的にスワップは低め。メキシコペソはその中間に位置する。高スワップと安定性のバランスが取れた通貨として、3つ目の選択肢としてちょうどいいと感じました。

もうひとつは米国経済との連動性です。わたしはフィジカルAIインフラへの投資という文脈で米国経済の成長を長期的に信じています。その米国と強く連動するメキシコペソを持つことは、ある意味でその信念と方向性が一致している。単純なスワップ狙いではなく、米国経済の恩恵を為替でも受けられる可能性があるという点が、メキシコペソを選んだもうひとつの理由です。

金額設定はトルコリラ・豪ドルと同じく毎日200円、レバレッジ1倍です。3通貨合わせて年間約150,000円の積立になります。シミュレーション上のスワップ合計は年間約17,750円、投資額に対する利回りは約11.8%です。許容できる金額の範囲で、リスク分散しながらスワップを積み上げていく。それがわたしのスタイルです。

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まとめ

メキシコペソは、トルコリラのように一方向に下落し続ける通貨ではありません。上がる年もあれば下がる年もある。その特性から、単年で損益を考えることにあまり意味がない通貨です。

上昇局面ではスワップと為替差益の両取り、下落局面ではドルコスト平均法で取得単価を切り下げながら耐える。積み上がった通貨量が増えるほどスワップも増え、時間をかけるほど損益分岐点は有利な方向に傾いていく。これがメキシコペソ積立の本質です。

米国との関係という不確定要素は残ります。ただ、USMCAの枠組みが機能している限り、最悪の事態は回避される構造があり、さらに2026年11月の中間選挙の行方も、メキシコペソにとってひとつの転換点になりえます。

米国経済と共に動く通貨を、時間をかけて積み上げる。それがわたしのメキシコペソ積立の理論です。

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さよすけ
さよすけ
未来投資ストラテジスト
高配当株中心のなんとなく投資から、フィジカルAIインフラへの長期集中投資へとスタイルを転換。日本株・米国株・仮想通貨・外貨積立を組み合わせながら、「未来に保有する理由がある銘柄」だけを厳選するポートフォリオを実践中。自身の運用経験と思考プロセスをそのまま発信しています。
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