SCREENホールディングス(7735)|5銘柄比較で選んだ、割安だが不可欠な半導体洗浄装置メーカー

AIブームが加速する中で、わたしは考えていることがありました。
「AIチップの需要が増えるなら、そのチップを作る装置の需要も増えるはずでは?」
NVIDIAのGPUが世界中のデータセンターに積まれていく。そのGPUを製造するには、半導体製造装置が必要です。AIが普及すればするほど、半導体の生産量は増え、製造装置の需要も増えていく。この構造は、比較的シンプルに見えました。
注目したのは5銘柄です。東京エレクトロン、ディスコ、レーザーテック、アドバンテスト、そしてSCREENホールディングス。いずれも半導体製造装置・関連機器の国内トップクラスのメーカーで、AI需要の恩恵を直接受ける位置にいます。
ただ、どれも株価は高い。そして値動きが激しい。
半導体装置株は、半導体市況の影響を受けて大きく上下するというのがこれまでの常識でした。景気が良ければ設備投資が増えて業績が伸び、景気が悪化すれば投資が止まって一気に落ちる。成長性は魅力的ですが、つかみどころを間違えると大きな含み損を抱えることになります。
もっとも、AI需要の登場でこの構造が変わりつつある可能性があります。これまでのサイクルはPC・スマートフォンの需要に引っ張られていました。でもAIインフラへの投資は、景気循環とは少し異なる論理で動いています。データセンターの増設、AIチップの増産。この流れが続く限り、装置需要は途切れないのかもしれない。
それがわたしが保有を続けているもうひとつの理由です。
5銘柄のバリュエーション比較|なぜSCREENホールディングスを選んだか
5銘柄に注目したとはいえ、全部買うのは難しい。1単元で200万円以上する水準のものもあり、資金には限りがあります。
そこでわたしが最初に見たのがPERです。成長株においてPERは絶対的な判断基準にはなりません。ただ、同じ業界の中で相対的に比較するときには有効な指標になります。
現在の各銘柄のPERはおよそこのくらいです。
- レーザーテック:約55倍
- アドバンテスト:約42倍
- ディスコ:約47倍
- 東京エレクトロン:約41倍
- SCREENホールディングス:約22倍
一目瞭然です。SCREENホールディングスだけが突出して低い。もちろん、PERが低いには理由があります。
SCREENホールディングスの主力製品である洗浄装置は、半導体製造工程の中では地味なポジションです。露光装置のASML、検査装置のレーザーテック、ダイシング装置のディスコのような「この会社にしかできない」という強烈な個性が、SCREENホールディングスは相対的に薄い。市場からプレミアムがつきにくい会社です。
ただ、洗浄工程が不要になることはありません。むしろ半導体が微細化・高度化するほど、製造工程での汚染リスクは高まり、洗浄の重要性は増していきます。地味だが不可欠、それがSCREENホールディングスのポジションです。
相対的に割安ですが、事業の本質的な価値は高い。わたしはそう判断しました。
アドバンテストも買った|そして手放した話
慎重に入口を選ぼうと決めたわたしが、最終的に購入したのは2銘柄です。
ひとつはSCREENホールディングス。もうひとつはアドバンテストでした。
2025年春のトランプ関税ショックで、半導体装置株は軒並み大きく下落しました。その局面で、SCREENホールディングスは1単元約98万円、アドバンテストも50万円を切る水準まで値を下げていました。他の3銘柄は依然として1単元100〜200万円前後。相対的に手が届く価格になったこの2銘柄に絞って購入を決めました。
その後、アドバンテストは順調に上昇。100万円を超えたあたりで、わたしは利確しています。そろそろ天井ではないかという判断でした。
しかし、結果的にその判断は間違いでした。その後もアドバンテストは値上がりを続け、現在は230万円前後。利確した時点からさらに倍以上になっています。
ルールに従って買い、ルールに従って売った。
にもかかわらず、結果は思い通りにならない。投資の難しさを改めて感じました。
一方、SCREENホールディングスはそのまま保有を続けています。
こちらの判断については、後ほど詳しく書きます。
SCREENホールディングスとはどんな会社か
SCREENホールディングス(スクリーンホールディングス、証券コード7735)は、京都に本社を置く半導体製造装置メーカーです。1868年創業という長い歴史を持ち、前身の大日本スクリーン製造から現在の社名に変わったのは2014年のことです。
主力事業は半導体製造装置で、売上の大部分を占めます。その中心となる製品が洗浄装置です。
半導体の製造工程は、大きく分けると成膜・リソグラフィ・エッチング・洗浄・検査といったプロセスが何十回も繰り返されます。回路を描き、削り、また描く。その各工程のあいだに必ず入るのが洗浄です。微細なゴミや化学物質の残留が回路の欠陥に直結するため、洗浄なしに次の工程には進めません。
地味に見えますが、製造ラインから取り除くことのできない工程です。
そして、この洗浄工程の重要性は半導体の微細化が進むほど増していきます。回路幅が数ナノメートルという領域になると、ほんの少しの汚染が致命的な欠陥につながる。洗浄の精度と信頼性への要求は、技術の進化とともに高まり続けています。
SCREENホールディングスは、この洗浄装置の分野で世界トップクラスのシェアを持ちます。地味だが不可欠、かつ代替の難しい領域に深く根を張っている会社です。
直近業績|減収減益の中に見えるもの
2026年3月期の通期決算は、売上高約6,057億円(前期比3.1%減)、営業利益約1,225億円(同9.7%減)と減収減益でした。一見すると厳しい数字です。
ただ、原因は構造的な問題ではありません。半導体業界全体で設備投資が一時的に減速した局面が重なりました。顧客であるファウンドリーやロジックメーカーの投資が鈍化し、装置の発注が落ちた。SCREENホールディングスに限らず、装置メーカー全体に共通した業界サイクルの問題です。
注目したいのは財務体質です。自己資本比率は67.4%と前期末から約5ポイント上昇し、ネットキャッシュは約2,213億円と潤沢な手元資金を維持しています。売上が落ちてもキャッシュが積み上がっている。これは事業の安定性を示しています。
そして直近の4Q(2026年1〜3月)では、経常利益が前年同期比26.6%増、営業利益率も21.2%から25.0%へ改善しています。回復の兆しが数字に出始めています。
2027年3月期の会社予想は、経常利益が前期比20.7%増の約1,500億円。2期ぶりの過去最高益更新を見込んでいます。半導体投資の回復を追い風に、業績は明確に上向く局面に入っています。
なぜ「さよ11」ではなくサテライトなのか
わたしがオリジナルポートフォリオ「さよ11」で目指しているのは、フィジカルAIのインフラ層に投資するという考え方です。センサー、接続、制御、電力管理、設計検証。
AIが物理世界に実装されるとき、必ず通る層を抑える。その思想で組んだポートフォリオがさよ11です。
残念ながら、SCREENホールディングスはその定義とは少し違うところにいます。
洗浄装置は半導体製造の上流に位置しますが、あくまで製造装置。半導体需給のサイクルに業績が左右される構造は、需給に依存しないインフラ層とは異なります。わたしが欲しいのは、AIが普及するほど需要が増え続ける、さらに上流の存在です。
しかし、投資対象として魅力がないわけではありません。
半導体の製造量が増えれば、洗浄装置の需要も増える。AIインフラへの投資拡大は、SCREENホールディングスにとっても追い風です。直接的ではありませんが、フィジカルAI普及の恩恵を受ける位置にいることは確かです。
コアとは別に、成長の恩恵を受けつつも異なる性質を持つサテライト。SCREENホールディングスはその枠に収まる存在です。
さよ11の詳細はこちらの記事をご覧ください。

わたしの投資判断|取得・売却ライン
わたしがSCREENホールディングスを購入したのは2025年春、トランプ関税ショックで株価が大きく下落した局面です。取得単価は約4,800円(2026年3月の株式分割後換算)で200株・約96万円の投資でした。
購入の判断基準はシンプルです。相対的に割安なバリュエーション、洗浄工程という代替困難なポジション、そして価格が下がったタイミングが重なった。この3点が揃ったとき、わたしは買いと判断しました。
現在の株価は12,630円、含み益は約156万円です。取得からおよそ1年で2倍以上になっています。
それでも、今から追加で買うかと聞かれたら答えはNoです。PER22倍という相対的な割安感は購入時の根拠でしたが、株価が2倍になった今も同水準のPERが維持されているなら、それは業績も伸びているということ。割安の根拠は変わっていません。ただ、コア銘柄でない以上、ポジションをこれ以上積み増す必要はないと考えています。
売却を考えるラインはPER30〜40倍です。他の4銘柄並みのバリュエーションに近づいたとき、相対的な割安の根拠が薄れます。そのあたりで徐々に利確していく予定です。
保有を続けているもうひとつの理由は、1章でも触れたAIサイクルの変化です。従来の半導体装置株は市況サイクルで大きく上下しました。
ただ、AIインフラへの投資が景気循環とは異なる論理で動いているなら、装置需要の構造が変わっている可能性がある。その仮説が崩れない限り、SCREENホールディングスはホールドの判断です。
まとめ
SCREENホールディングスは、半導体製造の洗浄工程を担う装置メーカーです。地味なポジションゆえに市場からのプレミアムがつきにくく、他の4銘柄と比べてPERが突出して低い。その割安感と、洗浄という代替困難な事業の本質的な価値が、わたしが購入を決めた理由です。
2026年3月期は減収減益でしたが、原因は業界サイクルの一時的な調整です。財務体質は強化され、直近の4Qでは利益率が改善。2027年3月期は過去最高益の更新を見込んでいます。
AIインフラへの投資拡大の恩恵を受ける位置にいることは確かで、装置需要の構造が変わっている可能性も考慮し、コアとは別のサテライト枠として保有を続けるつもりです。
テンバガーの探し方については、こちらの記事をご覧ください。






