THK(6481)|ロボットが増えるほど需要が増す、LMガイドの世界王者

フィジカルAIのインフラ銘柄を調べていて、考えたことがあります。
ロボットが動くとき、何が起きているんだろう?関節が曲がる、アームが伸びる、台車が走る。そのすべての動きの根底に、「直線運動」があります。滑らかに、精密に、繰り返し動き続けること。それを支える部品を、世界で初めて実用化した会社がTHKです。
ロボット本体ではない。ロボットが動くために必要な部品を作る会社。これは「さよ11」の思想、「端末ではなくインフラを抑える」そのものです。
THKとはどんな会社か
THK(6481)は、直線運動部品の世界的リーダーです。東証プライム上場、本社は東京。社名はToughness(タフネス)・High Quality(ハイクオリティ)・Know-how(ノウハウ)の頭文字に由来しています。
主力製品はLMガイド(リニア・モーション・ガイド)とボールねじです。LMガイドは直線運動部の転がり化を世界で初めて実用化した製品で、国内シェア70%・世界トップを誇ります。工作機械・産業用ロボット・半導体製造装置・医療機器まで、精密な直線運動が必要なあらゆる現場に深く組み込まれています。
一般的な知名度はほぼありませんが、製造現場に関わるエンジニアなら知らない人はいない。そういう会社です。
2025年12月期の売上高は約2,404億円。LMガイド・ボールねじ・電動アクチュエータを中心に、グローバルで事業を展開しています。
なぜフィジカルAIに欠かせないのか
ロボットが動くとき、必ず「直線運動」が発生します。アームが伸びる、スライダーが移動する、工具が上下する。その直線運動を滑らかに、精密に、繰り返し実現するために必要なのがLMガイドです。
産業用ロボット1台に、LMガイドは複数個使われます。ロボットが1台増えるたびに、LMガイドの需要が増える。ロボットが100万台になれば、100万台分のLMガイドが必要になる。これがわたしの思想「端末ではなくインフラを抑える」と一致する理由です。
さらにTHKはヒューマノイドロボットという新しい市場への対応も始めています。ボールねじの技術を応用したローラねじは、ヒューマノイドの関節駆動に適した部品で、THKの量産技術が世界的な供給不足を解消する鍵になる可能性があります。
工作機械・産業用ロボット・半導体製造装置・ヒューマノイド。フィジカルAIが普及するほど、直線運動の需要は増えていく。THKはその中心にいます。
なぜ今が買い時だったか|特損という一時的要因
わたしがTHKを購入したのは、決算で株価が急落したタイミングでした。
2025年12月期、THKは698億円という大きな最終赤字を計上しました。黒字予想から一転しての赤字転落で、市場は大きく売りで反応しました。
ただ、赤字の中身を見ると状況が変わります。主な要因は構造改革費用と持分法投資損失という一時的なものです。構造改革はむしろ筋肉質な会社に生まれ変わるためのコストであり、本業であるLMガイドの世界シェアは変わっていない。需要構造も変わっていない。市場が数字の見た目だけで売ったというのがわたしの判断でした。
そして、構造改革費用が剥落した2026年12月期の会社予想は215億円の黒字への急回復。売上高も前期比8%増を計画しており、右肩上がりの軌道に戻る見通しです。
これはピーター・リンチが言う「一時的な悪材料で売られた割安株を拾う」パターンそのものです。AIRMANやTEIKOKUと同じ構造、見た目の業績悪化と本質的な競争力の乖離がTHKにも起きていました。
取得単価4,500円、現在は約60%の含み益です。市場が見落としていた部分を冷静に拾えた、という実感があります。
DOE導入と配当|グロースでありながらインカムも取れる
THKはDOE(株主資本配当率)を配当方針として導入しています。
DOEとは、株価ではなく純資産に対して一定の割合で配当を決める方式です。業績が一時的に悪化しても配当が安定しやすいという特徴があります。
2026年12月期の予想配当は184円。現在の株価水準での配当利回りは約2.65%です。
わたしにとっては、YOC(Yield on Cost)、取得原価に対する配当利回りで考えるため、取得単価4,500円で配当184円なら、YOCは約4.1%になります。
割安で仕込むことができたわたしにとっての実質利回りは4%超です。
これが長期投資・割安で仕込むことの意味のひとつだと考えています。グロース株でありながら、インカムも着実に積み上がっていきます。
わたしの投資判断
わたしの投資哲学についてはこちらの記事で書いています。その基準に照らして、THKは未来に保有する理由が明確にある銘柄です。
フィジカルAIが普及するほどロボットは増える。ロボットが増えるほど、LMガイドの需要は増えます。この構造が変わらない限り、保有し続ける理由があります。
さよ11のサテライトとして、長期保有を続けていく予定です。
PERは予想ベースで約34倍で推移しており、割高に見えるかもしれません。ただ、正直あまり気にしていません。構造改革という嵐を越えて、2026年12月期は215億円の黒字への急回復が見込まれています。LMガイドという世界トップの競争優位性を持ち、ヒューマノイドという新市場への対応も始まっている。これだけの理由があれば、PERは判断の軸になりません。
逆に売りを考えるとしたら、LMガイドの代替技術が登場してTHKのシェアが本格的に侵食され始めるような場合です。ただし、直線運動部品は製造現場に深く組み込まれており、一朝一夕では置き換えられない。現状その兆候は見えません。
まとめ
THK(6481)は、直線運動部品の世界王者です。LMガイドで国内シェア70%・世界トップ。製造現場に深く組み込まれた、なくてはならない部品を作る会社。
フィジカルAIが普及するほどロボットは増え、ロボットが増えるほどLMガイドの需要は増えていく。端末ではなくインフラを抑えるという、わたしの思想と完全に一致する銘柄でもあります。この構造が変わらない限り、保有し続けるつもりです。
わたしの投資哲学・銘柄の探し方についてはこちらの記事をご覧ください。





