割高株は買ってはいけないのか|PERより大切な「未来に保有する理由」

割高株とPERの考え方をテーマにした投資哲学記事のアイキャッチ|さよすけ未来投資ラボ
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「割高株には手を出すな」という言葉を、投資を始めた頃によく聞きました。

PER40倍、60倍、80倍。その数字を見ただけで「高すぎる」と判断して避ける。
それが賢明な投資家の姿だと思っていた時期がありました。

でもある時、ふと考えました。「PERが高いというのは、本当に割高ということなのか?」

わたしが保有するGLW(コーニング)のPERは約64倍です。COHR(コヒレント)は約80倍。さよ11の銘柄には、一般的に「割高」と言われる水準のものが複数あります。それでもわたしは保有し続けています。

PERだけで投資判断をしていたら、これらの銘柄は最初から候補にすら入らなかった。でも「割高だから買わない」という判断は本当に正しいのでしょうか?

割高に見える理由

PERとは何かを改めて考えてみます。株価収益率、つまり「直近の利益」に対して株価が何倍かを示す数字です。PERが80倍なら、直近の利益の80年分の価格で買っているという意味になります。そう聞くと確かに高く聞こえます。

ただ、忘れてはいけないことがあります。それは、市場は常に「未来」を織り込むということ。

投資家が高いPERを許容するのは、今の利益が低くても、数年後には利益が大きく成長すると期待しているからです。言い換えれば、PERが高い株は「今は割高」に見えても、「未来の利益」で割り直せば割安かもしれない。

COHRを例にとります。現在のPERは約80倍。高く見えます。でもCOHRはAIデータセンター向けの光トランシーバーで急成長しており、NVIDIAも頼る技術を持っています。3年後・5年後の利益が今の数倍になるとすれば、今の株価は決して割高ではない。

割高に見えるのは、市場がすでに未来を織り込んでいるからです。まともな企業であれば、割高には理由がある。

割安を待ち続けると、機会を失う

ピーター・リンチは割高株を嫌いました。PERが市場平均を大きく上回る株には慎重で、割安な優良株を見つけることに情熱を注いだ投資家です。

わたしはリンチの哲学から多くを学びました。ストーリーを軸に投資する、ニッチで差別化できた会社の収益性は高い、ファンダメンタルズが壊れたら売る。これらは時代を超えた本質だと思っています。

ただ、ひとつだけ現代では事情が違うと感じています。それは情報の非対称性の問題です。

リンチが活躍した時代は、個人投資家でも機関投資家より先に優良企業を割安で見つけられる余地がありました。ですが現代は違います。情報の精度と速度が格段に上がり、ファンダメンタルズの良い企業にはすぐに資金が流入する。本当の意味でのリンチ的割安株がないとは言いませんが、見つけたときにはすでに先回りされているケースが増えています。

だからわたしは、ある程度のバリュエーションはガイダンスや業績の裏付けのもとに受け入れる、という考え方に行き着きました。割安を待っていると、機会を失い続けることになります。

わたしが割高でも買う条件

PERが高ければ何でも買うわけではありません。割高でも買うには条件があります。

ひとつめは、ストーリーが明確にあること。この会社はなぜ成長するのか、5年後・10年後にどんな世界でどんな役割を担っているのか。それが言葉で説明できる銘柄だけを買います。

ふたつめは、ガイダンスや業績が裏付けになっていること。どれだけ魅力的なストーリーでも、数字が伴っていなければ絵に描いた餅です。売上成長率、粗利率の改善、EPSの推移。これらが方向として正しく動いているかを確認します。

ストーリーだけでは足りません。そのストーリーが業績という現実で裏付けられているとき、はじめて「未来に保有する理由がある」と言えます。

GLW(コーニング)のPERは約64倍です。光ファイバーの素材を握り、AIデータセンターの爆発的な需要拡大の恩恵を直接受ける会社。実際に売上・粗利率ともに改善が続いており、数字がストーリーを裏付けています。5年後の利益が今の数倍になる可能性があるなら、今のPERは高くない。

COHR(コヒレント)のPER約80倍も同じ理由で保有しています。AIデータセンター向け光トランシーバーの需要急増を背景に、直近の業績は急回復しています。

PERが高いことは問題ではありません。それを正当化するストーリーと数字がないことが問題なのです。

割高でも買わない場合

では、どんな割高株は買わないのか。

ストーリーがない割高は買いません。話題になっているから、SNSで盛り上がっているから、テーマ株として注目されているから。
そういう理由だけで株価が上がっている銘柄は、どれだけPERが高くても、それはわたしの定義する「割高の理由」とは違います。企業の本質的な価値ではなく、注目度が株価を押し上げている状態です。

もうひとつ、ストーリーはあるがファンダメンタルズが壊れている場合も買いません。成長の仮説は魅力的でも、売上が伸びていない、赤字が拡大し続けている、ガイダンスを下方修正し続けている。そういう銘柄はストーリーが数字に裏付けられていない状態です。

PERが高い=割高ではない。でもストーリーも数字も伴わない高いPERは、ただの割高です。この区別がわたしの投資判断の境界線になっています。

ピーター・リンチ的な割安との使い分け

割高でも買う。ただしそれだけが投資ではありません。

リンチが言った「割安な優良株」は、現代でも存在します。ファンダメンタルズは良好なのに、一時的な要因で売られている銘柄。市場が短期的な悪材料に反応して、本質的な価値より安くなっている状態です。

わたしが次に購入を検討しているBSY(ベントレーシステムズ)はまさにその例です。インフラのデジタルツインという領域で独自のポジションを持ち、ファンダメンタルズは悪くない。にもかかわらず、一時的な要因で株価が売られている。リンチが好んだ「割安な優良株」の条件に近い銘柄です。

割高でも買う。割安でも買う。一見矛盾しているように見えますが、判断の軸は同じです。「未来に保有する理由があるか」。GLWもCOHRもBSYも、この問いに対してYesと答えられる銘柄です。

PERが高いか低いかは、入口の数字に過ぎません。
大切なのはその先にあるストーリーと、それを裏付ける数字です。

まとめ

PERは過去と直近の数字です。投資は未来を買う行為です。

割高に見える株が本当に割高かどうかは、PERだけでは判断できません。
市場はすでに未来を織り込んでいる。まともな企業であれば、割高には理由があります。

ただし、ストーリーも数字も伴わない高いPERはただの割高。わたしが買うのは、ストーリーが明確にあり、ファンダメンタルズがそれを裏付けているときだけです。

割高でも買う。割安でも買う。どちらの場合も、判断の軸はひとつです。

「未来に保有する理由があるか」

この問いに答えられない銘柄は、PERがいくら低くても買いません。逆にこの問いに答えられる銘柄なら、PERがいくら高くても買います。

リンチから学んだストーリー投資の本質を受け継ぎながら、現代の市場に合わせてアップデートする。それがわたしの投資哲学です。

わたしの投資哲学の全体像はこちらの記事をご覧ください。

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さよすけ
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未来投資ストラテジスト
高配当株中心のなんとなく投資から、フィジカルAIインフラへの長期集中投資へとスタイルを転換。日本株・米国株・仮想通貨・外貨積立を組み合わせながら、「未来に保有する理由がある銘柄」だけを厳選するポートフォリオを実践中。自身の運用経験と思考プロセスをそのまま発信しています。
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