ピーター・リンチに学び、現代にアップデート|わたしの投資哲学

ピーター・リンチに学び現代にアップデートした投資哲学の記事アイキャッチ|さよすけ未来投資ラボ
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ピーター・リンチの名前は、投資を始めた頃から知っていました。

マゼラン・ファンドを13年で29倍にした伝説のファンドマネージャー。
でも、なぜか手が伸びなかった。古典的な投資本という印象があって、現代の市場には合わないのではないかと思っていたからです。

読もうと思ったきっかけは、自分の投資哲学を言語化したいと感じたことでした。
「さよ11」を組み、個別銘柄の分析を行う中で、「なぜこの会社を選ぶのか」「なぜPERを気にしないのか」という問いに、もっとしっかり答えられるようにしたかった。

読み終えて、予想通りだった部分と、現代では少し違うと感じた部分がありました。そしてリンチを通じて、自分の投資哲学が少し鮮明になった気がしています。

リンチから学んだこと

リンチの投資哲学の核心は、「ストーリー」です。

この会社はなぜ成長するのか。その理由が明確に説明できる銘柄だけを買え。
そしてそのストーリーが壊れたとき、はじめて売りを考えろ。シンプルですが、これがリンチの投資判断の基軸でした。

わたしが特に共感したのは、ニッチな領域の会社への着目です。
低成長産業や無成長産業は競合が少なく、そこで頭角を現した企業は強い値付け力を持つ。収益性が高い。リンチが葬儀屋やフィリップモリスを例に挙げていたのが印象的でした。地味でも、ニッチで差別化できた会社こそ高い収益性を持ち、それが株価を定義するという考え方です。

もうひとつ刺さったのが、「身近なところに10倍株(テンバガー)がある」という言葉です。日常生活・仕事、特に身近なところに隠れている「優良企業」を見逃さず、投資のきっかけにしろ。専門家でなくても、消費者としての視点が強みになるという考え方です。

この言葉が刺さったのには理由があります。
わたしがNVDAを初めて買ったのは、AIが話題になる前のことでした。仕事でNVIDIAの担当者から提案を受けたのがきっかけです。仮想デスクトップ環境にGPUを乗せ、それをソフトウェアで仮想化するという内容でした。

単なるGPUメーカーだと思っていたNVIDIAが、エンタープライズ向けのソフトウェアを開発していた。ソフトウェアビジネスの収益性の高さはVMware(現Broadcom傘下)で知っていたので、一応買っておこう。その程度の動機でした。

NVDAの保有状況スクリーンショット。 取得単価20.42ドル、現在値209.68ドル、 含み益+926%。コロナ前から長期保有中。

取得単価は約20ドル(分割後)。現在は10倍を超えています。リンチの言う「身近な10バガー」を、結果的に実践していたのかもしれません。この本から得た気づきは大きかった。

「ピーター・リンチの株で勝つ」はこちら↓

わたしの投資哲学の土台を再点検するきっかけになった一冊。現代に合わせてアップデートしながら読むと、より深く刺さります。

そしてファンダメンタルズの定期的な再点検。ストーリーが変わっていないか、業績は裏付けになっているか。これを怠らない限り、長期保有は正当化されるというリンチの姿勢は、わたしの投資スタイルとも重なります。

現代でアップデートが必要な部分

リンチの哲学に共感しながらも、現代の市場では少し違うと感じた部分があります。

ひとつは、割安株の発見しにくさです。
リンチが活躍した時代は、個人投資家でも機関投資家より先に優良企業を見つけられる情報の非対称性がありました。しかし現代は違います。
情報の精度と速度が格段に上がり、ファンダメンタルズの良い企業にはすぐに資金が流入する。本当の意味でのリンチ的割安株がないとは言いませんが、見つけたときにはすでに先回りされているケースが増えています。

そこでわたしが行き着いたのが、ある程度のバリュエーションはガイダンスや業績の裏付けのもとに受け入れる、という考え方です。
言い換えれば、「未来に保有する理由」があるかどうか。それがわたしの投資判断の軸です。PERが高くても、その高さを正当化するストーリーと数字があるなら買う。割安を待っていると、機会を失い続けることになります。

もうひとつは、「身近さ」の定義のアップデートです。
リンチは日常生活や仕事の現場で触れた製品・サービスから投資先を見つけろと言いました。この本質は正しい。
ただ現代では、身近な製品・サービスも情報の流通が早く、良いビジネスにはすぐ競合が現れてコモディティ化しやすい。

だからわたしは「身近さ」を一歩先に更新しました。
身近な製品ではなく、身近な社会の変化を先回りして投資する。フィジカルAIや産業の自動化という変革は、誰もが感じ始めている社会の変化です。その変化の川上を抑えることが、現代における「身近な10バガー」の探し方だと思っています。

そしてマクロトレンドの扱いです。
リンチは「株式市場の予測はするな」と言いました。この言葉の本質は正しいと思います。ただ、マクロトレンドの分析は予測ではなく、どこを深掘りするかを決めるフィルターとして使うべきだとわたしは考えています。
フィジカルAIという大きな変化を起点に、その川上にいる企業を個別に分析する。
マクロは入口であり、判断はあくまで個別企業のストーリーとファンダメンタルズで行う。この使い分けが現代における投資の現実解だと思っています。

わたしの2つのアプローチ

こうして整理してみると、わたしの投資には2つのアプローチが並走していることに気づきます。

ひとつは、マクロ起点のアプローチです。
フィジカルAIという社会の変化を起点に、その実装に欠かせないインフラレイヤーを特定し、そこに位置する企業を選ぶ。これが「さよ11」です。演繹的に、大きな変化から個別企業へと絞り込んでいく方法です。

もうひとつは、リンチ的なアプローチです。
ニッチで差別化できていて、海外で稼ぎ、収益性が高い。そういう企業を個別に探していく。浜松ホトニクス、日本セラミック、オプテックスグループはこの文脈で出会った銘柄です。帰納的に、個別企業の強さから積み上げていく方法です。

面白いのは、この2つが結果的に重なる部分があることです。
オプテックスGを「海外、ニッチ、センサー」という軸で選んだあと、フィジカルAIのセンサー文脈とも繋がっていることに気づきました。日本セラミックも同じです。異なる入口から入っても、行き着く先が近い。それはフィジカルAIという変化が、すでに社会の身近なところに浸透し始めているからだと思っています。

2つのアプローチは矛盾しません。マクロで大きな方向を定め、個別企業の強さで確信を深める。リンチから学んだ視点が、わたしの投資哲学をより立体的にしてくれた気がしています。

ストーリーの再点検

2つのアプローチは違っても、共通している軸があります。
ストーリーが変わらない限り、保有し続けるということです。

リンチは言いました。売るタイミングはストーリーが現実的ではなくなったときだ、と。業績が悪化したのか、競合に優位性を奪われたのか、経営が迷走しているのか。そういった変化がなければ、株価の上下に惑わされて売る必要はない。

わたしもこの考え方を軸にしています。さよ11の銘柄もリンチ的な日本株サテライトも、定期的にストーリーを再点検します。フィジカルAIというテーマは変わっていないか。その企業が担うインフラの役割は変わっていないか。ニッチな優位性は保たれているか。ファンダメンタルズは裏付けになっているか。

これらが変わっていなければ、保有し続ける理由があります。

逆に、ストーリーが壊れたと判断したときは売ります。
業績が構造的に悪化した場合、競合に優位性を奪われた場合、そしてストーリー自体が現実的でなくなった場合も同じです。PERが上がったからでも、株価が下がったからでもない。あくまでストーリーと、それを支えるファンダメンタルズが判断の基準です。

リンチを読んで改めて思ったのは、投資の本質はシンプルだということです。なぜ持っているのかを説明できる銘柄だけを持つ。説明できなくなったら売る。それだけです。

まとめ

ピーター・リンチは、現代でも十分に通用する投資家です。ストーリーを軸に投資する、ニッチな収益性の高い企業を探す、ファンダメンタルズを定期的に再点検する。これらは時代を超えた本質だと思っています。

ただ、現代の市場環境に合わせてアップデートが必要な部分もある。情報の非対称性が縮まった今、割安株を個人が先に見つけることは難しくなっています。身近さの定義も、製品・サービスから社会の変化へと一歩先に更新する必要がある。

リンチを読んで、自分の投資哲学が少し鮮明になりました。マクロで方向を定め、個別企業のストーリーとファンダメンタルズで確信を深める。そしてストーリーが現実的でなくなったとき、はじめて売りを考える。

シンプルですが、これがわたしの答えです。

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さよすけ
さよすけ
未来投資ストラテジスト
高配当株中心のなんとなく投資から、フィジカルAIインフラへの長期集中投資へとスタイルを転換。日本株・米国株・仮想通貨・外貨積立を組み合わせながら、「未来に保有する理由がある銘柄」だけを厳選するポートフォリオを実践中。自身の運用経験と思考プロセスをそのまま発信しています。
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