コヒレント(COHR)|光でAIを繋ぐトランシーバー企業、NVDAも頼る技術

GLWが「さよ11」に入っている理由を書いたとき、こう表現しました。
「フジクラが光ケーブルを作るなら、GLWはその素材となる光ファイバーを作る」と。
ではその光ファイバーの中を、実際に光信号として走らせるのは誰か。答えがCOHR(コヒレント)です。
GLWが「道」を作り、COHRが「光を走らせる」。同じ光通信インフラでも担う役割が違います。わたしがさよ11に光通信銘柄を2本入れているのは、それだけの需要があると見ているからです。AIの処理は超高速・超大量で、その接続を担う光トランシーバーの需要は、データセンターが拡張するほど確実に積み上がっていきます。
そしてCOHRを選んだもうひとつの理由が、NVDAとの深い関係です。これについては後の章で詳しく書きます。
現在の保有額は約5000ドル、平均取得単価は約250ドル前後です。
GLWと並んで、さよ11の光通信インフラの柱として位置づけています。
COHRとはどんな会社か
コヒレント(COHR)は、ペンシルベニア州ピッツバーグに本社を置くフォトニクス(光技術)の世界的大手です。レーザー・光トランシーバー・光部品を設計・製造しており、データセンター、通信、産業、医療など幅広い市場に製品を供給しています。2025年通期売上高は約58億ドル(前年比23%増)となっています。
「フォトニクス」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、要するに「光を使って情報を処理・伝送する技術」です。COHRはその光技術の専業メーカーとして、世界のデータセンターに不可欠な部品を供給しています。
事業は大きく3つに分かれています。データセンター・通信向けの「Networking」、産業・医療向けの「Industrial」、そして半導体製造向けの「Lasers」です。この中で現在最も成長しているのがNetworkingセグメントで、AIデータセンター向け光トランシーバーの需要急増が牽引しています。
GLWと同様に、完成品を売る会社ではありません。データセンターのサーバーやスイッチの中に組み込まれる部品を作る会社です。知名度は低いですが、COHRの部品なしにAIデータセンターは動かせないといっても過言ではありません。
なぜフィジカルAIに欠かせないのか
AIの処理は超高速・超大量です。GPUが膨大な計算をこなし、その結果をリアルタイムで他のサーバーやシステムに伝送する。この伝送を担うのが光トランシーバーです。
光トランシーバーとは、電気信号を光信号に変換して光ファイバーに送り出し、受け取った光信号を再び電気信号に変換する部品です。データセンター内のサーバーとスイッチの間、データセンター間の接続、あらゆる高速通信の入口と出口にCOHRの部品が使われています。
データセンター全体で見ると光通信の比率は圧倒的です。銅線(DAC)はラック内の短距離接続では合理的ですが、ラックをまたぐ接続・データセンター間の接続は光が主役です。AIクラスターが大規模になるほど、光トランシーバーの需要は指数関数的に増えていきます。
一方で、メガテックがトランシーバーを内製化するのでは?という懸念もあります。
ただ、COHRはすでにその先を見据えています。次世代のCPO(コパッケージドオプティクス)向けに、高出力CWレーザーという核心部品を供給する体制を整えており、NVIDIAからの20億ドル投資がその証明です。
トランシーバーの形が変わっても、光を生み出すレーザー技術はCOHRが握り続ける。この構造がCOHRの長期的な強みです。
GLWが「道を作る」会社なら、COHRは「その道を光の速さで走らせる」会社。
フィジカルAIのシステムが複雑・高速になるほど、COHRの出番は増えていきます。
NVIDIAとの関係という上振れ余地
COHRへの投資を考えるうえで、外せないのがNVIDIAとの関係です。
2026年3月、NVIDIAはCOHRに対して20億ドルの投資を行うことを発表しました。これはCPO(コパッケージドオプティクス)関連製品の供給契約と合わせたもので、今後10年規模の長期契約です。
NVIDIAがCOHRを選んだという事実が、この技術の価値を雄弁に語っています。
NVIDIAのSpectrum-6スイッチやKyberインターコネクトファブリックは、CPOを前提とした設計になっています。そのCPOの心臓部となる高出力CWレーザーをCOHRが供給する。NVIDIAのAIインフラが普及するほど、COHRへの需要が増える構造です。
さらに注目すべきは市場規模の拡大です。COHRが2026年3月のOFC(光ファイバー通信カンファレンス)で示したロードマップによると、CPO・光トランシーバー・OCS(光回路スイッチ)を合わせたアドレス可能市場は210億ドル超に達するとしています。
NVIDIAという最強のパートナーを得て、COHRは単なる部品メーカーからAIインフラの核心サプライヤーへと変貌しつつあります。
直近業績|加速する成長
直近通期(FY2025)売上高は約58億ドルで前年比23%増、過去最高を記録しました。
FY2026も加速が続いています。Q2 FY2026(2025年10〜12月)の売上高は17億ドルで前年比17%増(プロフォーマベースで22%増)、データセンター&通信セグメントは34%増を達成しました。
特に注目すべきはbook-to-billが4倍超という数字です。受注が売上の4倍以上積み上がっているということは、今後の成長が既に確約されているに等しい。一部顧客からは2028年まで受注が見えているとCEOが明言しています。
Q3 FY2026のガイダンスは売上17〜18.4億ドルとさらなる成長を見込んでいます。数字と経営陣の発言、両方が同じ方向を向いています。
わたしの投資判断基準
わたしの投資哲学についてはこちらの記事で書いています。その基準に照らして、COHRは未来に保有する理由が明確にある銘柄です。
GLWが光ファイバーの素材を握るなら、COHRは光を実際に走らせる技術を握っています。どちらが欠けてもAIデータセンターは動かせない。さよ11に光通信銘柄を2本入れているのは、それだけの需要と確信があるからです。
NVIDIAからの20億ドル投資は、COHRの技術力への最大の証明だとわたしは考えています。世界最強のAIチップメーカーが、次世代インフラの核心部品をCOHRに託した。この事実が、COHRを保有し続ける最大の理由のひとつです。
現在のPERは約80倍。GLW同様、通常であれば躊躇する水準です。
ただ、わたしは一切気にしていません。NVIDIAが20億ドルを投じた技術、2028年まで積み上がった受注残、光接続需要の構造的な成長。
これだけの理由があれば、PERは判断の軸になりません。
逆に売りを考えるとしたら、光接続技術そのものが不要になるような革新が起きた場合です。ただ、現状ではその可能性は極めて低い。AIの処理がこれだけ高速・大容量になっている以上、光接続の需要は増える一方です。
現在までの平均取得単価は約250ドル前後。GLWと並んで、さよ11の光通信インフラの柱として長期保有を続けます。
まとめ
コヒレント(COHR)は、光信号を送受信するトランシーバー技術で、AIデータセンターの接続インフラを担う会社です。
GLWが「光の道を作る」なら、COHRは「その道を光の速さで走らせる」。
2つで光通信インフラの川上を抑えているのが、さよ11の設計思想です。
直近のPERは約80倍で割高に見えるかもしれません。ただ、NVIDIAが20億ドルを投じ、2028年まで受注が積み上がっている現実がある。数字より未来の構造を信じています。
AIの処理が高速・大容量になるほど、光接続の需要は増え続けます。そして、その需要の核心にCOHRがいる。この構造が変わらない限り保有し続けます。
さよ11の全体像については、こちらの記事をご覧ください。

次回も別銘柄の個別分析を書いていきます。




