円安・物価高に強い資産とは?NISAでつくる「守り×成長」ポートフォリオ入門

円安と物価高、止まらない生活コスト。いま必要なのは「節約」より「守る仕組み」
2025年、日本では「円安」と「物価高」が同時に進行しています。
給料は変わらないのに、食費・光熱費・ガソリン・通信費まで、あらゆるものが上昇。いま、わたしたちの手元にある「円」の価値は、静かに目減りしています。
でも、ここで多くの人が誤解しています。
💬 節約すればなんとかなる と思っていませんか?
物価が上がる時代では、「支出を減らす」だけでは追いつきません。必要なのは、円安やインフレに負けないように、資産を守る仕組みを持つことです。
たとえば
- 円だけで持たず、外貨や世界の株式も少しずつ保有する
- インフレに強い資産(ゴールドなど)を組み合わせる
- 非課税で育てられる NISA口座 を活用する
こうした仕組みが「お金の価値を守る盾」になります。
💡 この記事でわかること
- なぜ円安と物価高が同時に起きているのか
- 円安が家計に与える本当の影響
- 資産を守るための現実的な分散戦略
- 円安・物価高に強い資産(NISA/ゴールド/仮想通貨)
✅ 結論を先に言うと
「節約」より「設計」へ。
お金の流れに合わせて、自分の資産を守る仕組みを持つことが、いま最強の防衛策です。
👉 次の章では、なぜこの「円安と物価高」が同時に起きているのか。その構造的な理由をわかりやすく整理します。
なぜ円安と物価高が同時に起きているのか
円安と物価高は、実は別々の問題ではありません。どちらも同じ根っこ──「日本だけが金利を上げられない」ことが原因です。
2025年現在、アメリカや欧州はインフレ抑制のために金利を上げています。
一方、日本は依然として超低金利。その差によって、世界中の資金が「円を売ってドルを買う」方向に動き、円安が進みました。
円安になると、輸入品の価格が上がります。
エネルギー、食料、原材料──日本は多くを海外に頼っているため、企業の仕入れコストが上昇し、結果的に生活必需品の価格まで上がるのです。
これが「円安 → 輸入コスト増 → 物価高」の連鎖。
つまり、いまの物価高は「景気が良くて物が売れている」わけではなく、円の価値が下がった結果としてコストが上がっているインフレ。
給料が上がらないまま支出だけ増える、最も厳しいタイプのインフレです。
💬 たとえば
- 為替レートが1ドル=120円から150円に下がるだけで → 1万円の輸入品が 12,500円 に値上がり
- 同じ給与で生活するほど、実質的な購買力は 約20%減少
これが見えない増税と言われるゆえんです。
そのため「円でしか資産を持たない」=価値が減るリスクを抱えるという意識を持つことが大切です。
✅ 対策の第一歩は、「円」以外の軸を少しずつ取り入れること。
- 世界株式や米国株を通じて外貨を持つ
- ゴールドなどインフレ連動資産を組み合わせる
- NISAの非課税枠を活かして長期で守る
これらを取り入れることで、円安と物価高のダブルパンチを緩和できます。
円安と物価高に負けない資産設計の考え方
資産を守るために必要なのは、「どこに預けるか」ではなく「どう分けるか」です。円だけに偏った状態では、為替や物価の変化にすべてを左右されてしまいます。まずは、資産を3つの軸で分けて考えることが重要です。
1. 通貨の分散 ─ 円だけに依存しない
日本円だけで資産を持つと、円安が進むたびに実質的な価値が減ります。
たとえば1ドル150円が160円になれば、同じ1万円でも海外では購買力が下がるということ。これを防ぐには、外貨に連動する資産を一部持つのが効果的です。
外貨建て資産の例
- 米国株(S&P500・NASDAQなど)
- 外貨MMF・ドル建てETF
- ゴールド(国際価格で取引される)
👉 外貨を直接買わなくても、海外ETFやグローバル株式ファンドを通じて外貨を保有できます。NISAなら非課税で保有できるので、長期分散との相性も抜群です。
2. 資産クラスの分散 ─ 株だけでなく「守りの資産」も
株式は成長に強い一方、景気悪化や金利上昇時には下がります。そこで組み合わせたいのが、株と逆に動く資産。代表的なのが「ゴールド」や「債券」です。
ゴールドは通貨価値が下がるほど価格が上がりやすく、インフレや円安時にポートフォリオのクッションとして機能します。
債券(特に米国債ETFなど)は、株式の値動きとは逆の局面で安定しやすく、全体のリスクを和らげてくれます。
💡 ポイントは「攻めの株式 × 守りの資産」を半々にせず、自分のリスク許容度に合わせてバランスを取ること。
3. 非課税制度を活用 ─ NISAで「長期×分散」を仕組み化
資産を守るうえで、税金も見逃せません。どれだけ利益を出しても、課税されればリターンは削られます。
そこで使いたいのが、NISA(少額投資非課税制度)です。
NISAを活用するメリット
- 運用益・配当がすべて非課税
- 長期保有を前提とした制度で、複利効果を最大化できる
- 投資信託・ETF・国内外株を1つの口座で管理できる
👉 つみたて投資枠では「オルカン」「S&P500」などの王道投信、成長投資枠では「ETF」や「ゴールド」など、資産分散に最適な商品を選べます。
4. 分散投資の基本構成 ─ 3つのエリアで考える
どんな人でも意識したいのは「世界・米国・守り」の3エリアです。
| エリア | 主な資産 | 特徴 |
|---|---|---|
| 🌏 世界分散 | オルカン・VT | 先進国+新興国をまとめてカバー。1本で世界の成長を取り込める。 |
| 🇺🇸 米国成長 | S&P500・QQQ | 世界の中心市場である米国。イノベーションと企業収益の成長を狙う。 |
| 🥇 守りの資産 | ゴールド・債券 | 円安・インフレ時に強い。株式と逆の動きで資産全体を安定化。 |
この3エリアを組み合わせるだけで、「攻め」と「守り」をバランスよく備えた資産構成になります。
5. 行動をシンプルに保つ ─ 「継続できる仕組み」が最強
円安や物価高がニュースになるたびに動く必要はありません。一度バランスを決めたら、自動積立+年1回見直しで十分。
短期の値動きより、「仕組みを続けられるか」が最大の分かれ道です。投資の継続こそが、インフレと円安を超える「現実的な防衛策」になります。
円安・物価高に強い資産とは?──「実物」「外貨」「非課税」の3本柱
円安と物価高が進むとき、現金や預金の価値は目減りします。いま必要なのは、「値上がりする資産」よりも「価値を保てる資産」を持つことです。
その中でも、特に強いのが次の3本柱です。
1. 実物資産(ゴールドなど)
ゴールド(金)は「無国籍の通貨」とも呼ばれます。各国の通貨が不安定になったときでも、価値が世界共通で認められているからです。
とくに円安・インフレの局面では、金価格が上昇しやすい傾向があります。たとえば2020年以降、円建ての金価格は右肩上がり。理由は単純で、「円の価値が下がっているから金の値が上がっている」ためです。
💡 ゴールドの買い方
- NISAなら「ピクテ・ゴールド」などの投資信託
- ETFなら「GLDM」「SPDRゴールドシェア」
- 少額なら「純金積立」や「金地金型の積立サービス」
👉 株式が下がるときに値上がりしやすく、ポートフォリオ全体の安定性を高めます。
2. 外貨建て資産(米国株・グローバルETF)
円安は、外貨ベースの資産を持っている人にとってプラスになります。ドルやユーロ建ての資産は、円換算したときに価値が上がるからです。
代表的なのは米国株や全世界株ETF。
たとえば
- 米国株インデックス:S&P500(VOO)、NASDAQ100(QQQ)
- 全世界ETF:VT(トータル・ワールドストック)
- 高配当ETF:VYM(米国高配当株)
これらは米ドル建てなので、円安が進むほど円ベースの資産額が上がります。さらに、米国経済の成長も取り込めるため「インフレ+円安」の両方に強い構造です。
💬 「日本の物価が上がっても、ドルで稼ぐ企業は利益を伸ばす」この視点が、円安時代の投資に欠かせません。
3. 非課税資産(NISA)
インフレの時代では、「税金」も実質的なコストになります。利益に課税されるたび、複利の力が削がれるからです。
そこで活用すべきなのが、NISA(少額投資非課税制度)。つみたて投資枠・成長投資枠の両方を使えば、インフレに負けない「非課税×長期分散ポートフォリオ」を作れます。
おすすめの使い方
- つみたて投資枠 → オルカン/S&P500で世界と米国の成長を取り込む
- 成長投資枠 → ETF(VOO・VT)やゴールドを追加して守りを強化
👉 「増やす」と「守る」を一つの制度で実現できるのがNISAの強みです。
4. 新興資産(仮想通貨・ビットコイン)
仮想通貨は、円やドルと異なり中央銀行に依存しない資産。
とくにビットコインはデジタル・ゴールドと呼ばれ、インフレや通貨不安の局面で資金が流入しやすい特性を持ちます。
ただし、価格変動が非常に大きいため、ポートフォリオの5〜10%程度に抑えるのが現実的です。
💡 分散の一部としての位置づけ
- 株式やゴールドと相関が低く、リスク分散効果が高い
- 将来的な通貨制度やデジタル化への備えにもなる
👉 仮想通貨は投機目的ではなく分散のピースとして取り入れるのが賢い使い方です。
まとめ:円安・物価高時代の3本柱+α
| 分類 | 資産例 | 強み |
|---|---|---|
| 🥇 実物資産 | ゴールド(GLDM・ピクテ・ゴールド) | 通貨価値下落に強く、株式が下がる局面での防衛力が高い。 |
| 💵 外貨建て資産 | 米国株・全世界ETF(VOO・VT・VYM) | 円安とインフレの両方に対応。世界経済の成長を取り込める。 |
| 🧾 非課税制度 | NISA口座(つみたて/成長投資枠) | 税金ゼロで長期分散を実現。インフレ対策の“仕組み”になる。 |
| 💻 新興資産(+α) | 仮想通貨(BTC・ETHなど) | 通貨や国境に縛られず、次世代のデジタル資産として分散効果を発揮。 |
この4つを組み合わせれば、円安と物価高に左右されない次世代の防衛ポートフォリオが完成します。
基本は、NISAを最大限に活用しながら、ゴールドなどの実物資産と米国株(外貨建て資産)を非課税で保有すること。
つまり「守り×成長×非課税」を一体化させることが、最も効率的なインフレ対策になります。
NISAでつみたてることでコストを抑え、ETFでドル建ての成長を取り込み、ゴールドで円安リスクを緩和する──
この仕組みが、これからの日本で資産を守るための現実的な防衛ラインです。
行動ステップ|NISAでつくる「守り×成長」ポートフォリオ
「円安と物価高に強い資産」は、ただ知っているだけでは意味がありません。大切なのは、どの順番で・どんな配分で持つか です。NISAを中心に、「守り」と「成長」を両立させるには、次の3ステップが基本になります。
🧩 ステップ1:つみたて投資枠で「基礎の柱」をつくる
まずは毎月の積立で「世界」と「米国」をベースに長期で強い資産をコツコツ育てます。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
どちらも低コスト×王道インデックス。続けやすさと世界分散の両立ができるのが強みです。
💹 ステップ2:成長投資枠で「リスク分散」を広げる
ここでは、ETFやテーマ型・実物資産などを追加して、「円安」「インフレ」に強い成分をポートフォリオに加えます。
- VT/VOO/QQQ(米国・世界ETF)
- GLDM/ピクテ・ゴールド(実物資産)
ETFは配当も得られる銘柄もあり、インフレ下でもキャッシュフローを確保することもできます。一方、ゴールドは株価下落局面でのクッションになります。
👉 成長投資枠はリスクの緩衝材を入れる場所。相場の波を受け止めるための余白を作る意識が大切です。
🪙 ステップ3:+αで「新興資産」を少しだけ取り入れる
ビットコインなどの仮想通貨は、リスクは高いものの、円やドルとは異なる通貨体系を持つ「第三の資産」。
全体の5〜10%程度を上限に、分散の一部として検討してもよいでしょう。(積立型サービスを利用すると無理なく続けられます)
📊 モデルポートフォリオの例(NISA×分散設計)
| タイプ | 全世界株式 (オルカン) | 米国株式 (S&P500) | ゴールド | ETF | 仮想通貨 | 現金 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ⚖️ バランス型 | 30% | 25% | 10% | 20% | 5% | 10% |
| 🚀 成長型 | 20% | 35% | 5% | 25% | 10% | 5% |
| 🛡️ 安定型 | 35% | 20% | 20% | 10% | 0% | 15% |
💬 ポイント
- NISAを非課税ベースとして最大活用
- 守り(ゴールド・現金)と攻め(ETF・仮想通貨)をバランス設計
- 円安・インフレのどちらにも対応できる柔軟性を確保
まとめ|節約より設計で、円安・物価高を乗り越える
円安と物価高が続く時代、お金を守る最善策は 「節約」ではなく「設計」 です。
毎月の積立を通して、NISAを軸に “世界・米国・守り資産” をバランスよく組み合わせる。それが、円の価値が下がっても揺るがない 現実的な防衛策 になります。
💡 これから始める人の行動ステップ
1️⃣ NISA口座を開設する
👉 手数料・ポイント還元・操作性の3点で選ぶのがコツ。
(例:SBI証券/楽天証券/松井証券 など)
2️⃣ つみたて枠で王道インデックスを積み立てる
・オルカン/S&P500 など、低コストで世界に分散投資できる商品から。
3️⃣ 成長投資枠で防衛ラインを組み込む
・VT・VOO・GLDM など、インフレと円安に強いETFを少額から。
4️⃣ +αで将来の変化にも備える
・仮想通貨など新興資産を5%程度に限定して取り入れる。
👉 「投資の防衛力」= 分散 × 非課税 × 継続。
この3つを満たせば、誰でも長期で資産を育てられます。
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