ピーター・リンチ流・割安株の探し方|四季報とAIで絞り、人間がジャッジする

今の時代、割安株は存在するのでしょうか?
情報の流通が早くなり、ファンダメンタルズの良い企業にはすぐに資金が流入する。個人投資家が機関投資家より先に割安株を見つけるのは難しい。そういう時代になったのは事実です。
でも、わたしは割安株を探すことをやめていません。
理由はシンプルで、市場は常に合理的ではないからです。業界全体が嫌われているとき、一時的な悪材料が出たとき、地味すぎて誰も注目していないとき。そういう瞬間に、本質的な価値より安く放置されている銘柄が生まれます。
ピーター・リンチはそれを「割安な優良株」と呼びました。わたしはその探し方を、現代に合わせてアップデートしています。
ピーター・リンチが言った割安株とは
割安株というと、株価が低い株、PERが低い株というイメージを持つ人が多いと思います。でも、リンチが言った割安株は少し違います。
わたしはこれを「ファンダメンタルズが良好なのに、一時的な要因で売られている株」のことだと考えています。
業界全体が冬の時代を迎えている、決算が一時的に悪化した、地味な業種で誰も注目していない。そういった理由で本質的な価値より安く放置されている状態。
株価が低いのではなく、本来の価値に対して割安になっている状態です。
重要なのは「一時的な要因か、構造的な問題か」という区別です。
業績が悪化していても、それが業界全体の在庫調整や為替の影響であれば一時的な要因です。一方、競合に市場を奪われている、主力製品が陳腐化しているといった場合は構造的な問題です。一時的な要因なら買いのチャンスになりますが、構造的な問題であれば割安に見えても罠になります。
リンチが探していたのは、前者です。そしてそれはいまの日本株市場にも確かに存在します。
リンチの哲学の詳細はこちらの記事をご覧ください↓

わたしのスクリーニング基準
候補を絞るのに使っているのは四季報オンラインのスクリーナーです。
見ている指標は5つです。
ROE(自己資本利益率)
効率よく稼げているかを示す指標です。ROEが高い会社は、持っている資本を有効に使って利益を生み出している。競争力のある製品やニッチな技術を持つ会社は、往々にしてROEが高い傾向があります。
営業利益率
売上に対してどれだけ利益を残せているか。営業利益率が高い会社は、値付け力があるということです。ニッチな領域で差別化できている会社ほど、この数字が高くなります。
自己資本比率
財務の健全性を確認します。自己資本比率が高く、有利子負債が少ない会社は、業績が一時的に悪化しても耐えられる体力があります。割安に放置される時期が長くなっても安心して保有できるかどうかの基準です。
海外売上比率
国内市場だけで戦っている会社より、世界に製品を売っている会社の方が成長余地が大きい。海外で稼げているということは、グローバルで通用するニッチな競争力がある可能性もあります。
PER
最後に相対的な割安感を確認します。業種ごとの平均PERと比較して、明らかに低い水準に放置されていないか。
この5つで候補を絞ると、膨大な銘柄数がある日本株市場でも現実的な数に絞り込めます。そして、割安に見えるだけの理由が一時的なものかどうかを次のステップで確認します。
AIに分析させて、人間がジャッジする
候補が絞れたら、次は決算短信を読み込みます。ただし、全部を自分で読む必要はありません。
わたしはここで「生成AI」を使います。決算短信をAIに渡して、売上・利益の推移、セグメント別の動向、経営陣のコメント、リスク要因を整理してもらう。現代では当たり前のやり方ですね。
AIが担うのは情報の整理です。人間がジャッジするのは「一時的な要因か、構造的な問題か」という一点です。
例えば、営業利益が前年比で大幅に下落していたとします。AIはその事実を整理してくれます。でもその理由が何かを判断するのは人間の仕事です。
業界全体の在庫調整による一時的な落ち込みなのか。構造改革に伴う減損や先行投資の影響で、翌期以降に収益力が向上する可能性があるのか。それとも主力製品が競合に奪われた構造的な問題なのか。
同じ「減益」という事実でも、意味はまったく異なります。
この判断こそが、リンチの言うストーリーの再点検と同じです。ストーリーが変わっていないなら、一時的な悪材料で売られている今が買いのチャンスになる。ストーリーが壊れているなら、どれだけ割安に見えても手を出さない。
AIは情報処理を速くしてくれますが、投資判断は代わりにやってくれません。頼めばやってくれるかもしれませんが、AIは間違えます。もちろん人間も間違えますが、投資は自己責任である以上、最後に責任を負うのは人間であるべきです。
そこに個人投資家としての腕の見せどころがあると思っています。
日本株バリューとグロース株の使い分け
わたしの投資には2つの軸があります。
ひとつはオリジナルのグロース株ポートフォリオ「さよ11」。
フィジカルAIという社会の変化を起点に、その実装に欠かせないインフラ企業を長期保有するポートフォリオです。5年後・10年後の株価上昇を複利で受け取ることを目的としています。
もうひとつが、今回紹介した日本株バリュー投資です。
ファンダメンタルズが良好なのに一時的な要因で売られている銘柄を中期で保有し、本来の価値に戻ったところでキャピタルを取る。その原資をさよ11や他の投資に回していく、という役割です。
この2つは矛盾しません。長期と中期、米国株と日本株、成長と割安。それぞれ異なる役割を持っています。
実際にこの手法で見つけ、最近購入したのがAIRMAN(6364)とTEIKOKU(6333)です。どちらもスクリーニングの基準を満たし、AIで決算短信を分析した結果、業績悪化の原因が一時的な要因だと判断しました。
地味な業種で市場に放置されていますが、ファンダメンタルズは悪くない。リンチが好んだ割安優良株の条件に近いと考えています。
グロース株・割高株の考え方についてはこちらの記事をご覧ください↓

まとめ
割安株は現代でも存在します。
ただし、単純に株価が低い株ではありません。ファンダメンタルズが良好なのに、一時的な要因で売られている株です。
四季報オンラインのスクリーナーでROE・営業利益率・自己資本比率・海外売上比率・PERを確認して候補を絞る。決算短信をAIに分析させて、業績悪化の原因が一時的なものか構造的なものかを人間がジャッジする。このプロセスがわたしの割安株の探し方です。
リンチが好んだ割安優良株の本質は、現代でも変わっていません。
変わったのは、情報収集と分析のツールです。AIを使いこなしながら、最後の判断は自分でする。それが現代の個人投資家のあり方だと思っています。
グロース株で長期の成長を取りにいきながら、日本株バリューで中期のキャピタルを積み上げる。この2つの軸で、わたしは資産を育てています。
このスクリーニングの原点となったピーター・リンチの著書はこちら↓
フィジカルAIインフラへの投資思想はこちらの記事をご覧ください↓



