スワップポイントとは?金利差で毎日ふえる仕組みをやさしく解説【初心者向け】

スワップポイントとは 「2つの通貨の金利差によって毎日もらえる(または支払う)利息」 のことです。
FXの話題でよく聞く言葉ですが、仕組みそのものはとてもシンプルで、政策金利が高い国の通貨を買うと「金利差のぶんだけ利息がつく」というもの。
- なぜ毎日ふえるの?
- 金利差と何が違うの?
- どんなときに受け取れるの?
- マイナスになることもあるの?
こうした疑問をすべて、初心者向けにわかりやすく整理していきます。
スワップは短期売買では意識されませんが、長期で外貨を育てたい人にとってはとても重要な要素 です。
この記事では、難しい専門用語を使わずに「仕組み」と「本質」だけを理解できる形でまとめています。
結論:スワップポイントは「金利差によって毎日ふえる利息」
スワップポイントとは、2つの通貨の「金利差」が毎日そのまま利息として反映される仕組みです。
- 金利の高い通貨を買う → 差額の金利を毎日「受け取る」
- 金利の低い通貨を売る → 差額の金利を毎日「支払う」
FXで呼び方が「スワップ」になっているだけで、正体は金利差そのもの。短期よりも 長期保有でメリットが出やすいのが特徴です。
たとえば、金利が
- 米国 5%
- 日本 0%
のときに「ドルを買って円を売る」ポジションを持つと、その差(5%)の一部が毎日積み上がっていくというイメージです。
スワップは投機的なものではなく、外貨を長く育てるときに自然に積み上がる金利収益。
まずはこのシンプルな構造を押さえておけばOKです。
スワップポイントとは?(基本の定義)
スワップポイントとは、2つの通貨の政策金利の差を、毎日調整して反映した金利収益(またはコスト)のことです。
つまり、スワップ=金利差を日割りで受け取る(または払う)仕組みと考えると理解しやすいです。
外貨預金との違い(ここが重要)
外貨預金でも利息はつきますが、
- 銀行ごとに金利が違う
- いつ利息がつくか見えづらい
という特徴があります。
一方、スワップポイントは為替レートと政策金利差がそのまま反映されるため、仕組みが透明で見える化されているのが強み。
- どの通貨ペアを持つか
- どれぐらいの金利差があるか
が分かれば、スワップがどれぐらい付くかも自分で想像しやすい構造になっています。
👉 外貨預金とFXは、コストもリスクも外貨の育ち方もまったく違います。初心者でも判断しやすいように、長期向きの選び方をシンプルにまとめています。

なぜスワップポイントが発生するの?(金利差の仕組み)
スワップポイントが発生する理由は、とてもシンプルで世界の通貨にはそれぞれ「政策金利」があり、その差が必ず生まれるためです。
通貨には
- 金利が高い通貨
- 金利が低い通貨
があります。この差を調整するために、FXでは毎日以下のような処理を行っています。
👉 スワップの元になる仕組みを政策金利の視点から確認できます。

高金利通貨を買う → 差額を受け取る
- 日本の金利:0%
- 豪州の金利:4%
この場合、豪ドルを買って円を売ると、4%と0%の差=金利差ぶんが毎日受け取れる仕組み。
低金利通貨を売る → 差額を支払う
逆に、金利の低い通貨を売って、高い通貨を買う構造にならない場合は、金利差ぶんを支払う側になります。
なぜ「毎日」付くの?
FXでは、各通貨ペアを日次で調整する仕組みになっているため、金利差は1日ごとに積み上がるようになっています。
イメージとしては、
- 世界の金利差
- 取引量
- 時間調整(1日分)
これらを組み合わせて日割りの利息として付与するもの。
つまり、スワップポイントは「金利差のミニ版」が毎日つくイメージです。
長期保有すると、「為替の値動きとは別の収益源」として積み上がるため、外貨投資との相性がとても良い特徴があります。
スワップポイントはどれくらい?(ドル円・豪ドル円の具体例)
スワップポイントは「なんとなく増えるもの」ではなく、通貨ごとの政策金利の差にほぼ比例して決まる明確な利息です。
ここでは代表的な通貨ペアで、イメージをつかみやすく整理します。
ドル円(USD/JPY)|現在の「金利差の主役」
- 米国金利:5%前後
- 日本金利:ほぼ0%
ドルを買って円を売るとスワップを受け取る側。世界の基軸通貨である米ドルは、現在の金利水準が先進国の中で突出して高く、スワップを得やすい最も代表的な通貨ペアになっています。
ドル円の特徴
- 円高局面:含み損でもスワップが毎日下支え
- 円安局面:為替益+スワップのダブル効果
- 長期保有との相性が非常に良い
ドル円は、外貨を長期で育てたい人の中心的な候補になりやすい通貨ペアです。
豪ドル円(AUD/JPY)|金利が上がりやすい資源国通貨
- 豪州金利:4%台
- 日本金利:ほぼ0%
豪ドルを買って円を売るとスワップを受け取る側。現在は米国金利のほうが高いですが、豪ドルは 資源価格と連動して金利が上がりやすい構造 を持ち、中長期では日本より高い金利が続く局面が多いのが特徴です。
豪ドル円の特徴
- 中長期で安定して金利が受け取りやすい
- 資源国ゆえにインフレ局面で強い
- 値動きが米ドルよりややおだやか
- 外貨分散に向く補完的な通貨
「金利の高さ」ではなく、金利が上がりやすい性質の商品として理解すると違和感がない形になります。
通貨ペアごとにスワップの性格が違う
- USD/JPY(ドル円) → スワップを得やすく基軸通貨として安定
- AUD/JPY(豪ドル円) → 資源国型。中長期の外貨分散と相性が良い
スワップポイントを理解すると、「どの通貨が長期保有に向くのか」が自然に判断できるようになります。
スワップは増えるだけではない(マイナスになるケースもある)
スワップポイントは「毎日もらえる利息」というイメージが強いかもしれませんが、状況次第で支払う側になることもあります。
ここでは、誤解されやすいポイントを整理します。
低金利通貨を買うと、スワップはマイナスになる
スワップは 通貨同士の金利差 で決まるため、金利が低い通貨を買ってしまうと「受け取り」ではなく「支払い」になります。
円(0%)を買って、米ドル(5%)を売る場合、毎日スワップを支払う必要があります。
金利差が逆転すると、プラスがマイナスに変わる
金融政策が変われば、金利差も変動します。
- A通貨の金利が下がる
- B通貨の金利が上がる
こうした場合、昨日までプラスだったスワップが、急にマイナス側になる こともありえます。
特に、景気後退やインフレ沈静を理由にした利下げ局面では注意が必要です。
高金利通貨でも、政策金利が下がればスワップは減る
高金利通貨と呼ばれる国でも、中央銀行が利下げをすれば金利差は縮小し、受け取れるスワップも次第に減っていきます。
つまり、高金利だから買うという判断はリスクが大きい ということ。
だから「スワップだけ見て買う」は避けるべき
スワップは長期保有の大きな味方ですが、スワップが高い=買うべき通貨ではないという点を必ず押さえておきましょう。
金利、為替、通貨の特徴、政策の方向性──これらを総合して判断することが大切です。
長期保有でスワップを活かす方法(積立型外貨運用との相性が良い)
スワップポイントは、短期売買よりも長期で外貨を持ち続ける運用と相性が良い仕組みをしています。
ここでは、その理由をシンプルに整理します。
高金利通貨を少しずつ買うとスワップが積み上がる
高金利通貨を保有していると、金利差によって 毎日スワップが残高に加算されていきます。
この毎日積み上がる仕組みは、外貨預金のように年単位で利息が付くのとは違い、実質的に「複利的」に外貨が育っていく感覚が生まれます。
少額ずつ時間を分散しながら買い増していくと、日々のスワップが自然に積み重なり、長期では外貨保有の大きな支えになります。
短期の含み損をスワップがやわらげることもある
為替は短期で上下しますが、長期で見るとスワップが積み上がることで一時的な含み損を補うケースも珍しくありません。
毎日コツコツの積み重ねは「外貨を育てる」感覚
スワップは1日ごとの小さな金額でも、長期に続ければ外貨の保有量そのものを支える効果があります。
- 円高で安く買い足す
- 円安ではスワップが積み上がりやすい
というように、時間分散との相性も非常に良い特徴があります。
レバレッジは1〜2倍が基本(安全性を重視)
レバレッジをかけすぎると価格変動の影響が大きくなります。長期外貨保有を目的にする場合は、1〜2倍が実質的な最適ライン。
外貨預金に近い感覚で扱えるため、安定性が高まります。
積立型の外貨運用と相性が良い
スワップは、高金利通貨を長期で保有するときにこそ力を発揮します。
- 外貨を少しずつ買い足す
- 毎日のスワップが残高を支える
- 時間をかけて外貨を育てる
という流れは、短期売買ではなく、長期の外貨保有に向く運用そのものです。
こうした「コツコツ積み上げる」スタイルを実現しやすい方法が、少額・低レバレッジで外貨を買い続けられる 積立型FX です。
長期で外貨を持ちたい人にとって、一つの選択肢として相性が良い仕組みになっています。
👉 積立FXとは?外貨をコツコツ育てる長期運用の基本

よくある質問(FAQ)
スワップポイントは仕組みが分かりづらい部分でもあるため、よくある疑問をシンプルに整理します。
Q1. スワップは本当に毎日もらえるの?
はい。スワップは原則として毎日発生します。
土日分は週明けにまとめて付与されるなど、FX会社によって付与タイミングが少し変わることはありますが、「金利差がある限り、毎日発生する」仕組みは共通です。
Q2. 受取額は固定?それとも変動する?
変動します。
スワップは通貨間の政策金利で決まるため、
- 利上げ
- 利下げ
- 金利差の縮小/拡大
といった政策変更によって、日々のスワップも上下します。
固定の利息ではなく「変動型の金利差収益」と考えると分かりやすいです。
Q3. スワップだけ狙っても大丈夫?
おすすめしません。
スワップは外貨保有のメリットのひとつですが、
- 為替レートの変動
- 金利差の逆転
- 利下げによるスワップ減少
など、変数が多いため、スワップの高さだけを理由に通貨を選ぶのはリスクが大きい です。
あくまで、長期保有や外貨分散の補助的な収益と考えるのが安全です。
Q4. 豪ドルとメキシコペソ、どちらが有利?
「スワップの金額だけ」で見るならメキシコペソが高くなりがちです。
しかし、値動き(ボラティリティ)・政策の安定・為替急変リスク を考えれば、長期保有向けなのは豪ドルのほうです。
- 豪ドル:先進国通貨 × 資源国 × 政策の安定
- メキシコペソ:高金利だが値動きが大きい
長期の外貨保有では「高金利新興国通貨=危険」と覚える方が安全 です。
Q5. スワップ目的の人は、レバレッジ何倍がおすすめ?
1〜2倍が基本です。
スワップを活かす目的でレバレッジを上げると、為替変動の影響が大きくなり、ロスカットのリスクが高まります。
1〜2倍で運用すれば、
- 外貨預金に近い安全性
- スワップの積み上がり
- 長期保有の安定性
を両立できます。
まとめ|スワップは金利差のもう一つの入り口
スワップポイントは、難しい計算をしなくても理解できる「金利差を毎日受け取る仕組み」です。
短期の値動きを追うよりも、外貨をゆっくり長期で育てていく運用と相性が良く、高金利通貨ほど日々の積み上がりが大きくなります。
ただし、スワップだけを見て通貨を選ぶのではなく、為替レートの変動や政策金利の変化とセットで考えること が重要です。
スワップの仕組みを理解しておくことで、
- なぜ金利差が重要なのか
- 長期外貨保有で何がメリットになるのか
- 積立型の外貨運用がなぜ実用的なのか
が自然に見えてきます。
外貨を長期で持つことを検討する際、スワップは「外貨を育てる力」のひとつとして役立つはずです。
🔗 関連記事
➡ 金利差とは?円安・ドル高の仕組みをわかりやすく解説
👉 スワップの源泉である「金利差」の基礎を、最短で理解できる入門記事。
➡ 外貨比率はどれくらい?円安時代の正解は10〜30%【安全な通貨分散】
👉 外貨をどのくらい持つべきかを迷わず決められる、比率設計の記事。
➡ 積立FXとは?仕組み・メリット・外貨預金との違いをやさしく解説
👉 毎日コツコツ外貨を育てる「積立型FX」の全体像をまとめた実践ガイド。
➡ 完全版|為替・外貨・FX用語をゼロから理解するための基礎辞典
👉 金利・政策金利・スワップを体系的に整理した、辞書としてのハブ記事。