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半導体株5選を徹底比較|東京エレクトロン・アドバンテスト・スクリーンHD・レーザーテック・ディスコの投資判断

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半導体株5選の特徴と投資ポイント比較【2025年最新版】

世界のテクノロジー産業を支える“半導体”。その製造工程を担う装置メーカーは、日本企業が強みを持つ分野として投資家から注目を集めています。生成AI、EV、パワー半導体などの需要拡大を背景に、半導体関連銘柄は今後も長期的な成長テーマとして意識されやすい一方、サイクル変動や市況リスクによる株価変動も大きいのが特徴です。

本記事では、日本を代表する 半導体製造装置メーカー5社

👉 東京エレクトロン(8035)

👉 アドバンテスト(6857)

👉 スクリーンホールディングス(7735)

👉 レーザーテック(6920)

👉 ディスコ(6146)

を取り上げ、企業概要・財務基盤・成長戦略・株価評価(DDM・DCF・ミックス係数) の観点から徹底比較します。

投資判断の参考になる「強みとリスク」を整理し、短期/中長期のスタンスも解説していきます。

東京エレクトロンの株価分析と投資判断|半導体製造装置のトップ企業

東京エレクトロン(8035)は、日本を代表する半導体製造装置メーカーであり、世界市場でもリーディングカンパニーとして確固たる地位を築いています。特に成膜装置・洗浄装置において圧倒的なシェアを誇り、EUVリソグラフィや先端ロジック半導体の微細化に欠かせない存在です。

企業概要と強み

東京エレクトロンは、売上高の約9割を半導体製造装置が占める「装置専業メーカー」。

強みは以下のとおりです。

  • 成膜装置・洗浄装置で世界シェアトップクラス
  • 顧客基盤はTSMC・Samsung・Intelといった大手半導体メーカーに集中
  • 半導体プロセスの微細化に不可欠な技術を長年蓄積

近年は EUV関連装置や先端ロジック需要 を背景に成長を続けており、長期的には次世代半導体への移行を追い風にさらに市場拡大が期待されています。

財務基盤と株主還元

直近決算では売上・利益ともに高水準を維持。営業利益率は約30%と製造業としては非常に高い水準にあり、財務基盤も健全です。

株主還元については DOE(株主資本配当率)5%を目安とする方針 を掲げており、安定した増配が期待される点も魅力です。

株価評価と投資妙味

2025年時点の株価指標は PER約23倍・PBR約7倍と、国内製造業平均を大きく上回る「プレミアム評価」を受けています。

DDMやDCFで算出される理論株価は実際の株価より低めに出やすい一方、独自技術とグローバルな需要を背景に市場が高評価を与えている銘柄 といえます。

短期的には半導体市況の循環性や地政学リスクに左右されやすいですが、長期的には「世界の半導体投資を牽引する主力株」としての存在感は揺るぎません。

👉 さらに詳しい数値評価や投資判断は、東京エレクトロン株の投資判断と株価分析 にまとめていますので、ぜひあわせてご覧ください。

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アドバンテストの企業概要と市場での地位|半導体テスト装置で世界シェア首位

アドバンテスト(6857)は、半導体製造工程の「後工程」に位置づけられる半導体テスト装置の世界最大手です。とくにSoCテストシステムで世界シェアトップを誇り、最先端半導体の量産に不可欠な存在として業界を牽引しています。

事業の特徴

  • SoCテストシステム:スマートフォンやPC、サーバーに搭載される高性能チップのテストに必須。世界シェアNo.1。
  • メモリテストシステム:DRAMやフラッシュメモリなどの品質を保証する領域でも強み。
  • サービス事業:装置のメンテナンス・サポートで安定収益を確保。

とくに、AIや5G、データセンター需要の拡大に伴い、半導体の高性能化・高集積化が進むほどアドバンテストの装置需要も拡大します。

市場での位置づけ

東京エレクトロンやディスコ、レーザーテックが「製造工程の装置」を担うのに対し、アドバンテストは「完成品の品質保証」という出口部分を担う存在です。つまり、半導体産業の最終的な信頼性を保証する企業として、業界内でも独自の地位を築いています。

👉 アドバンテストは「後工程のトップランナー」として、他の装置メーカーとは一線を画すポジションを確立しています。さらに詳しい分析は、アドバンテスト株の投資判断と株価分析 にまとめていますので、あわせてご覧ください。

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スクリーンホールディングス株の投資判断と株価分析|半導体洗浄装置で世界シェア首位

スクリーンホールディングス(7735)は、半導体製造用の洗浄装置で世界トップシェア(約40〜50%)を誇る大手装置メーカーです。売上の7割以上が半導体関連事業から成り立っており、特に最先端ロジックやメモリ向けの需要拡大とともに高成長を遂げてきました。

  • 業績推移:直近の売上高は約4,000億円規模、営業利益率は20%前後と高水準を維持。
  • 技術優位性:洗浄プロセスは微細化の進展に不可欠であり、同社はEUV世代や先端パッケージ向けにも対応。
  • 市場環境:半導体設備投資は景気循環の影響を受けやすいが、生成AIや車載半導体の需要増が長期成長を後押し。

投資家視点で見ると、株価は市況に左右されやすい一方で、「市況回復局面では真っ先に買われる銘柄」として位置づけられています。配当性向も安定しており、株主還元姿勢も評価ポイントです。

👉 スクリーンHD株の詳細な業績・株価評価は、こちらの個別記事で解説しています。

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レーザーテック株の投資判断と株価分析|EUVマスク検査で世界シェア100%

レーザーテック(6920)は、EUV(極端紫外線)露光向けマスク欠陥検査装置で世界シェア100%を誇る唯一無二の企業です。半導体の微細化・先端プロセスの普及に欠かせない存在であり、「日本を代表する成長株」として世界的に注目されています。

  • 業績動向:2025年6月期の売上高は約2,514億円(前年比+17.8%)、営業利益は1,228億円(+51.0%)と過去最高を更新。営業利益率は48.8%と製造業の中でも際立つ収益力を示しています。
  • 技術優位性:EUVマスク検査装置は代替が効かない技術であり、ASMLをはじめとする世界の半導体大手から高い需要を確保。次世代のHigh-NA EUV装置に対応した検査技術の開発も進めています。
  • 市場での地位:EUV関連投資の拡大により、数年先までの受注残をすでに積み上げており、業績の先行きが見えやすい点は投資家から高く評価されています。

株価面では、PER27倍・PBR7倍超と「プレミアム評価」を受けており、数値だけで見れば割高水準です。しかし、独占的なポジションと成長ストーリーが市場に強く織り込まれており、成長株として買われ続ける背景となっています。

👉 レーザーテック株の詳細な理論株価・投資判断については、以下の記事で解説しています。

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ディスコ株の投資判断と企業概要|世界シェア首位のダイシングソー

ディスコ(6146)は、半導体の後工程で使われる ダイシングソー(ウエハー切断装置)とグラインダー(研削装置) において、世界シェア8割以上を誇るトップ企業です。

特に「装置販売+消耗品供給」というビジネスモデルにより、安定した収益基盤を築いています。

投資家が注目すべきポイント

  • 世界的な独占的地位:ダイシングソーで圧倒的なシェアを確立。
  • 収益構造の強み:消耗品の継続供給によるストック型収益。
  • 成長テーマ:生成AIや次世代パッケージング需要を背景に、中長期的な成長期待が高い。

👉 詳しい分析は、ディスコ株の投資判断と株価分析 の記事で解説しています。

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半導体株5選の比較まとめ|各社の特徴と投資ポイント

企業主力分野強み株価評価注目すべき点
東京エレクトロン前工程(露光・成膜)世界大手と並ぶ競争力割高市場全体の成長を取り込むトップ企業
アドバンテスト検査装置AI・EUV需要追い風割高受注残が豊富で安定成長が期待できる
スクリーンHD洗浄装置高収益体質割安感ありバリュー株的に拾いやすい
レーザーテックEUVマスク検査独占的技術割高唯一無二のポジションでプレミアム評価
ディスコダイシング・研削装置+消耗品モデル割高ストック型収益で安定性高い

半導体株といっても、それぞれ立ち位置や評価は異なります。

東京エレクトロンやアドバンテストのように「業界をけん引する大型株」、スクリーンHDのように「割安で拾いやすい株」、レーザーテックやディスコのように「技術独占でプレミアム評価される株」と、バランスは多様です。

投資家は「成長性」「安定性」「割安性」のどこに軸を置くかで、ポートフォリオ設計も変わってきます。

投資家視点での半導体株総合評価|サイクル性と成長性の両面から考える

半導体関連銘柄に投資するうえで、まず意識すべきは 業界全体に共通するリスク要因 です。特に以下の3点は、どの銘柄を選んでも避けて通れません。

  • サイクル性の強さ:半導体は数年単位で好況と不況を繰り返す産業であり、設備投資が一巡すると需要が急減速する局面があります。
  • 地政学リスク:米中摩擦や輸出規制など、政治的要因が需給や株価に直結する可能性があります。
  • 為替影響:主要プレイヤーは輸出依存度が高く、円高は業績の下押し要因になり得ます。

その一方で、半導体は 生成AI・EUVリソグラフィ・パワー半導体・先端パッケージング といったテーマを背景に、長期的な成長がほぼ確実視される分野です。したがって、投資家は「どのリスクを許容し、どの強みをポートフォリオに取り込むか」という視点が重要になります。

銘柄ごとの投資スタンス整理

  • 東京エレクトロン/アドバンテスト  
    業界をけん引する大型株。市場全体の成長を取り込むなら外せない存在ですが、株価は割高圏で推移。セクターを網羅的に押さえたい場合に有効。
  • スクリーンホールディングス
    洗浄装置で高収益体質。株価評価はまだ割安感があり、半導体株の中では「バリュー枠」としてポートフォリオの安定性を補完できます。
  • レーザーテック/ディスコ
    いずれも独占的な技術・ニッチトップで「プレミアム評価」を受ける株。短期的には割高感が強いですが、長期的な成長ドライバーを取り込むなら有力候補。

総合的な見方

結論として、短期的には市況の変動に左右されやすい「ハイリスク・ハイリターンなセクター」である一方、長期的には技術革新の波に乗ることで高い成長を享受できる分野です。

投資家にとっては「成長株プレミアムをどの程度受け入れるか」「割安枠を組み込んでリスクをならすか」というポートフォリオ戦略が、半導体株投資の成否を分けるポイントになるでしょう。

さよすけ
さよすけ

半導体株の投資判断まとめ(短期/中長期スタンス)

【短期スタンス】

半導体株全体は、市況や決算発表、為替動向といった外部要因に敏感に反応します。

特に2025年時点では、AI需要・EUV関連投資・車載半導体などのテーマ性が強く、「好材料で急騰」「市況悪化で急落」というボラティリティの高さが特徴です。

👉 短期的には、レーザーテック・ディスコのようなプレミアム評価株は調整局面での下落幅も大きく、逆にアドバンテストや東京エレクトロンは決算トリガーでの値動きが中心。スクリーンHDのように相対的に割安感のある株は、短期でも比較的下値の安定感があります。

【中長期スタンス】

一方、中長期視点では「半導体需要の拡大」という世界的な成長ストーリーに支えられており、各社とも構造的な強みを活かして成長が期待できます。

  • 東京エレクトロン・アドバンテスト → 半導体前工程・検査装置で世界シェア上位。業界成長の恩恵をフルに享受。
  • スクリーンHD → 割安な株価水準と高収益体質で、長期投資に妙味。
  • レーザーテック・ディスコ → 独占的技術やストック型収益モデルを背景に、市場からプレミアム評価を受けやすい。

👉 投資家にとっては、「割安株で安定を取りにいくか」「プレミアム株で成長を狙うか」の戦略判断が重要です。

おわりに|半導体株を俯瞰して見える投資判断のヒント

今回取り上げた 東京エレクトロン・アドバンテスト・スクリーンHD・レーザーテック・ディスコ の5社は、日本を代表する半導体製造装置メーカーです。それぞれが独自の強みを持ち、市場で異なる立ち位置を確立しています。

  • 東京エレクトロン/アドバンテスト:業界をけん引する大手で、市況全体の成長を取り込みやすい。
  • スクリーンHD:高収益体質を維持しつつ、相対的に割安感が残る。
  • レーザーテック/ディスコ:独占的技術やストック型収益で市場からプレミアム評価を受ける。

👉 投資家にとって重要なのは「どの株を選ぶか」だけでなく、成長株と割安株をどう組み合わせるか という視点です。サイクル性の強い半導体株だからこそ、ポートフォリオ全体のバランスがリターンを左右します。

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これらの記事を通じて、「割安感のある銘柄」×「プレミアム評価銘柄」 をどう組み合わせるか、投資戦略を考えるヒントにしていただければと思います。

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バリュー投資の人
「理由ある投資」を大切に、 バリュー株や成長企業をコツコツ分析しています。noteでは“思想×投資”の視点も交えつつ、ゆるく発信しています。
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